日航機墜落事故 現場に通信網整備 リモートで慰霊の様子を確認

520人が犠牲になった日航ジャンボ機の墜落事故から12日で38年です。墜落現場の群馬県上野村では、遺族や関係者が慰霊の登山を行っています。

一方、遺族の高齢化が進み、慰霊登山を断念せざるをえない人が増えています。こうした中、現場に足を運べない人でもリモートで慰霊の様子を確認できるように、ことし、墜落現場の山の尾根などに通信網が整備されました。

山本昌由さん(43)は、5歳のとき、日航ジャンボ機の墜落事故で父親の謙二さんを亡くしました。

かつては母親の啓子さん(78)などと慰霊登山に訪れてきましたが、啓子さんは、足の調子が悪くなったことなどから、5年前から参加できていません。

墜落現場付近は電波がほぼ通じませんでしたが、山本さんの弟の働きかけを受けて、大手通信会社などが衛星を使った通信網を整備し、3日間、一部の携帯電話やインターネットを使うことができるようになりました。

そして、12日、慰霊の登山に訪れた山本さんは、大阪府にいる母親や、アメリカにいる弟などにスマートフォンのビデオ通話で慰霊登山の様子を伝えました。

父親の墓標に到着すると、家族たちは「お父さんも喜んでいると思う」などと語り合い、リモートで映像を見ながら、ともに謙二さんを弔っていました。

山本さんは「こうしてリモートでも墓標を見せることができ、母親がとてもうれしそうにしているのが印象的だった。高齢化で、ここに集まることができない人たちもいるので、環境を整えてくれた関係者には感謝している」と話していました。