高校野球 慶応が北陸に勝ち 3回戦へ

夏の全国高校野球、大会6日目の第3試合は、神奈川の慶応高校が福井の北陸高校に9対4で勝ち、3回戦に進みました。

慶応は1回、2年生の4番・加藤右悟選手のタイムリーヒットで1点を先制し、2回に1点を追加します。

迎えた3回、7番・渡辺憩選手と1番・丸田湊斗選手のタイムリーヒットなどでさらに3点を加えます。

慶応は、その後も5回まで毎回得点を重ねて9点をリードし、北陸を突き放しました。

追う北陸は9回、2アウトから代打、宮脇隆之介選手が2点タイムリーで、この試合初めての得点を挙げると、続くエースの友廣陸選手がレフトスタンドにツーランホームランを打って、北陸はこの回、一挙4点を返しました。

北陸は、その後もランナーを出しましたが反撃は届かず、慶応が9対4で勝って3回戦に進みました。

北陸は6回以降、エースの友廣投手や川上将大投手の好投で相手に得点を与えませんでしたが序盤の大量失点が響いて、春のセンバツに続く初戦敗退となりました。

《両チーム談話》

慶応 大村昊澄主将「流れを渡し4点を奪われたことは反省点」

慶応のキャプテン、大村昊澄選手は「5回までに9点を取っていながら、後半は0点が続き、最後は相手に流れを渡して4点を奪われたことは反省点です。5回終了時にクーリングタイムという新しい取り組みがあるので、試合の後半は『もうひとつの試合だ』と思って次から臨みたいです」と試合を振り返りました。また「慶応のアルプスの応援は大きくて最高でした。声援を受けながら、日本一を目指していきたいです」と決意を述べました。

慶応 加藤右悟選手「先輩がつないでくれたので打ってやろうと」

2年生で4番を務め、11日2本のタイムリーヒットを打った慶応の加藤右悟選手は「打順は意識してこだわらないようにしました。でも、1回は先輩がつないでくれたので、打ってやろうと思いました」と笑顔を見せていました。そして「目標は日本一なので、快勝したきょうから、すぐ次の戦いに切り替えたいです」と力強く話していました。

北陸 友廣陸選手「流れを止めきれなかったのが悔しい」

北陸のエース、友廣陸選手は、6点をリードされた4回途中からマウンドに上がりました。友廣選手は慶応高校との対戦について「前半はチェンジアップなどの変化球にうまく対応され、流れを止めきれなかったのが悔しいです。一方で、後半からはまっすぐを中心に攻めた結果、立ち直ることができました」と振り返っていました。また、9回2アウトの場面で打ったツーランホームランについては「チームメイトがつないでくれたので、自分で終わるわけにはいかないと思って打席に入りました。アルプスからの声援がなければ、このホームランもなかったと思うので、応援してくれた人に感謝したいです」と話していました。

慶応 清原和博さんの次男が代打で出場

慶応は9点をリードした7回、先発したエース、小宅雅己投手の打席で、清原勝児選手を代打に送ると球場から大きな歓声が上がりました。

清原選手は、大阪のPL学園で活躍し、春夏の甲子園で歴代最多の通算13本のホームランを打った清原和博さんの次男です。

打席で清原選手は3球目のストレートを力強く振り抜いて鋭い打球を飛ばしましたが守備に阻まれ、レフトフライに打ち取られました。

それでも、慶応のアルプススタンドだけでなく、対戦相手の北陸のアルプススタンドなど大勢の観客から拍手が起こりました。

この姿を球場で見届けた父親の和博さんは「息子が多くの高校野球ファンの皆さんから拍手をもらって、バッターボックスに入る姿を見られるとは。幸せですね。息子には感謝しかありません。アウトにはなりましたが、レフトへのいい当たりでした。よくバットを振ったと思いますし、素晴らしいスイングでした」とコメントを出しました。

清原選手は「家族みんなからきのう『あしたは楽しんで来いよ』と言われて、しっかり楽しめたと思う。打席に立ったときの歓声はすごかったです」としたうえで、和博さんが見ていたことを知らされると「せっかく見ていてくれたから打ちたかったですね。反省をいかして、次は打ちたいと思います」と話していました。

慶応 春のセンバツの悔しさをバネに

5回までに12安打9得点の強力打線で圧倒し、初戦を制した慶応。春のセンバツで力を発揮できなかった悔しさをバネに勝利を呼び込みました。

ことし春、センバツに出場した慶応は去年秋の公式戦で1試合当たりの平均得点はトップと、自信を持って大会に臨みました。

しかし、去年の夏の甲子園で優勝した仙台育英との初戦では、相手の強力な投手陣を前にわずか1得点に抑えられ、悔しい初戦敗退となりました。

「打力があるというのは根拠のない自信だった」と、この敗戦を振り返るキャプテンの大村昊澄選手は「もっと練習して、こういう相手に勝たなければ日本一になれないと思い知らされた。そこからチームの技術レベル、意識レベルが一段と上がった」と話し、チームは夏に向け「速球への対応」、そして「1試合に1球あるかわからない甘いボールを1球でしとめる」ことをテーマに練習に取り組んできました。

マシンを通常より打席に近づけるなど工夫して、速球に振り負けない力強いスイングを磨いたほか、時には緩いボールを織り交ぜ、変化球に対応できる力を身につけてきました。

その成果は大舞台で発揮されます。北陸の先発、竹田海士投手の最速145キロの速球も、どのバッターも振り負けず、ヒットを重ねていきました。

2年生の4番・加藤右悟選手は1打席目に速球をレフトに運んで先制タイムリーとすると、3打席目には甘くきた変化球を1球でしとめて2本目のタイムリーとしました。

試合後、森林貴彦監督は「2週間ぶりの試合だったので、あまり打てないのではと心配していましたが、序盤からどんどん速球を打ち返し、選手たちもだんだん自信がついてきていると思う」と目を細めて話していました。

慶応は次の3回戦で好投手を擁する強豪、広島の広陵と対戦します。