秋本議員 馬主登録申請の際も約3000万円の資金提供を受けたか

洋上風力発電をめぐり、秋本真利衆議院議員が風力発電会社側からおよそ3000万円を受け取ったとされる事件で、秋本議員がこれとは別に、4年前、中央競馬の馬主になる登録を申請した際にも、風力発電会社の社長から一時的に、およそ3000万円の資金提供を受けていたことが関係者への取材で新たにわかりました。

東京地検特捜部は一連の資金提供の趣旨などについて調べを進めているものとみられます。

政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、秋本真利衆議院議員(48)が東京の風力発電会社「日本風力開発」の※塚脇正幸社長(64)からおよそ3000万円を受け取ったとされる事件で、東京地検特捜部は収賄の疑いで秋本議員の事務所などを捜索し、捜査を進めています。

秋本議員は4年前の2019年7月に、JRA=日本中央競馬会に個人馬主として登録されましたが、その登録を申請した際にも、塚脇社長から一時的におよそ3000万円の資金提供を受けていたことが関係者への取材で新たにわかりました。

JRAによりますと、中央競馬の個人馬主として登録するには、継続的に保有する預貯金などの資産の額が7500万円以上あることなどが要件になっています。

特捜部はこの3000万円を含めた一連の資金提供の趣旨などについて、調べを進めているものとみられます。

これについて※塚脇社長の弁護士は、「この時提供した資金はのちに全額返済されている。返済が確実な一時的な貸し付けであり、秋本議員からは金融機関で借りた場合の利子の2倍程度の額の謝礼を受け取ったので、賄賂にはあたらない」などと主張しています。

※塚は「点なし」の字体

疑惑の資金提供とは

あわせておよそ6000万円にまでふくらんだ、※塚脇社長から秋本議員への不透明な資金提供。

馬主登録をめぐる約3000万円の資金提供

関係者によりますと、まず、2019年7月の中央競馬の馬主登録をめぐって、およそ3000万円の資金提供がありました。

登録審査の締め切りはこの年の3月。

継続的に保有する預貯金などの資産の額が7500万円以上という、登録要件をクリアするため必要な資金だったとみられ、半年ほどで全額返済されたということです。

これについて、※塚脇社長の弁護士は「社長は当時、リスク分散のため、共有馬主になってくれる人がいれば馬主審査に通るよう協力していた。返済が確実な一時的な貸し付けであり、金融機関で借りた場合の利子の2倍程度の額にあたる現金100万円とワインを謝礼として受け取ったので、賄賂にはあたらない」などと主張しています。

議員会館の事務所で約1000万円 受け渡し

この2年あまり後のおととし秋、秋本議員や※塚脇社長は馬主組合を設立したとされています。

そして、去年10月28日、衆議院第一議員会館にある秋本議員の事務所で現金およそ1000万円が受け渡され、ほとんどが数日のうちに、秋本議員が購入手続きをした馬3頭の代金や馬の種付け料などに充てられていたことがわかっています。

日本風力開発は、政府が第1ラウンドとして3年前からおととしにかけて入札を実施した秋田県沖の2つの洋上風力発電事業への参入を目指したものの落札できず、その結果を知った秋本議員は去年2月の国会質問で入札の評価基準を見直すよう繰り返し求め、1000万円が渡された前日にその見直しが実現していました。

これについて※塚脇社長の弁護士は「1000万円は※塚脇社長が希望する血統の馬を、2人が設立した馬主組合の名義で買うために使われたので、秋本議員個人に提供したものではない。すぐに口座送金できず、競り落とした馬の代金の支払期限が迫っていたことなどから、28日に現金で渡しただけで、入札の評価基準見直しも発表のひとつきほど前には、会社にとって有利な内容にならないとわかっていたので、現金と評価基準見直しは関係なく、秋本議員への謝礼にはあたらない」などと主張しています。

さらに約2000万円の資金提供も

このほかに、ことし6月までにおよそ2000万円の資金が提供されていたことも明らかになっています。

※塚脇社長が、2人が設立した馬主組合の口座や取引先の牧場などの口座に送金し、馬の購入代金や餌代、それにきゅう舎代などに充てられていたということです。

これについて※塚脇社長の弁護士は「馬主組合という任意組合の組合員として、すべての債務を負うという民法上の義務を履行するために負担した運営費なので、賄賂にはあたらない」などと主張しています。