「中学生サミット」全国から約60人の生徒参加し拉致問題を議論

全国の中学生が北朝鮮による拉致問題について意見を交わす「中学生サミット」が東京で開かれ、中学1年生のときに拉致された横田めぐみさんの弟の拓也さんが「なんとしても被害者と親世代を会わせたい。どうか、みなさんも我がこととして理解を深めてください」と訴えました。

「中学生サミット」は、北朝鮮による最初の拉致事件から40年以上が経過し、被害者や家族の高齢化が進む中、若い世代に拉致問題について考えてもらおうと日本政府が初めて開いたもので、全国の中学生およそ60人が参加しました。

46年前、中学1年生の時に拉致された横田めぐみさんの弟で拉致被害者家族会の代表の横田拓也さんが講演し、「姉はバトミントンの部活が終わったあと下校途中に拉致されました。みなさんと同じ年ごろです。姉はひまわりのようにとても明るいお姉さんでした」と話しました。

そして3年前に父親の滋さんが再会を果たせぬまま亡くなり、被害者の親世代は母親の早紀江さんと有本恵子さんの父親の明弘さんだけになってしまったと説明したうえで、「何としても親世代を拉致された家族と会わせたい。どうかみなさんも我がこととして学校、友達、家族の中で話をしてください。大切な姉を取り戻すため応援してほしいし理解を深めてください」などと訴えました。

また、松野官房長官は「いまだに多くの被害者が北朝鮮に取り残されている。拉致問題の担当大臣として非常に心苦しく、申し訳なく思っている」と述べました。

そのうえで「日本国民が心を1つにして、すべての被害者の1日も早い帰国実現への強い意思を示すことが問題解決への力強い後押しとなる。特に若い世代に理解を深めてもらうことはとても重要だ。今回の参加をきっかけに拉致問題という重大な人権侵害が存在することや、個人の尊厳や人権の意義についてじっくり考えてほしい」と呼びかけました。

生徒たちは、同世代や地域の人たちに主体的にこの問題を考えてもらう方法をテーマにグループ討議などを行い発表するということです。