発表によりますと、楽天グループはクレジットカード事業を行う「楽天カード」の傘下に、スマホ決済事業を行う「楽天ペイメント」を子会社として置き、ことし11月にグループの再編を行うことを10日の取締役会で決めました。
事業を一体的に進めることで、いわゆる“ポイント経済圏”の競争力強化につなげるねらいです。
楽天は携帯電話事業でおよそ1兆円に上る基地局の整備費用が経営を圧迫し、財務基盤の強化が課題となっています。
これまでも、▽傘下の銀行や証券会社の株式の上場や、▽3000億円規模の増資など資金の調達を急いできました。
今回のグループ再編について会社は発表で、「第三者との戦略的パートナーシップや、必要に応じた独自の資本調達などについて柔軟に検討する」としていて、中核となるカード子会社で株式の上場を今後、検討するものとみられます。
こうした財務基盤の強化策を一段と進めるとともに、赤字が続く携帯電話事業の立て直しをどのように進めていくかが、グループ全体の課題となります。
楽天 中核事業でグループ再編へ 財務強化図るねらいか
楽天グループは中核のクレジットカード事業とスマホ決済事業を一体的に運営するため、グループの再編を行うことを正式に発表しました。カード子会社の株式の上場を今後、検討し、携帯電話事業が経営を圧迫する中、財務の強化を図るねらいがあるものとみられます。
「楽天カード」と「楽天ペイメント」とは
「楽天カード」が手がけるクレジットカード事業は急速に利用者を伸ばし、グループの中核に成長しています。
ことし6月末時点のカードの発行枚数は2900万枚余りとなり、去年1年間の売り上げは2900億円余りに拡大しました。
楽天カードを使った決済を行うと、グループのECサイトで商品を購入する際などにポイントの還元率が増えるというメリットを利用者にアピールしています。
会社としてはクレジットカードをきっかけに、グループ内のさまざまなサービスの利用拡大につなげるねらいがあり、カード事業は「ポイント経済圏」と呼ばれる顧客の囲い込みの中心的な役割を果たしてきました。
一方、「楽天ペイメント」は、QRやバーコードでのスマートフォン決済などの事業を手がけ、専用のアプリを使って加盟店舗で買い物の決済のほか、ポイント還元のサービスを提供しています。
ただ、この分野では、別のグループの傘下にある「PayPay」が5800万人以上の登録者を集めて先行するなど競争が激しくなっていて、「楽天ペイメント」の去年1年間の決算は、最終的な損益が69億円の赤字となっています。
このため楽天はグループのポイントカードとスマホ決済を同時に使った場合のポイント還元率を引き上げるなど、さらなる利用者拡大に向けた動きを加速させていました。
各社 スマホ決済と自社クレカ連携強化の動き激しさ増す
各社の間では利用が拡大するスマートフォン決済と自社のクレジットカードを結び付けることで、「ポイント経済圏」と呼ばれる顧客の囲い込みを強化する動きが激しくなっています。
▽スマホ決済のPayPayは、このところ急速に利用者を拡大し、存在感を高めています。
去年10月にはクレジットカード事業を子会社化したうえで、スマホ決済の支払い元を今後、自社のクレジットカードに限定する方針を打ち出しています。
スマホ決済の利用者をクレジットカードの発行に促すことで、自社の経済圏に囲い込もうというねらいです。
▽カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するTポイントは、来年春、クレジットカードも扱う三井住友フィナンシャルグループのポイントサービスと統合することで合意し、陣営としての会員数を一気に広げる戦略を進めています。
各社ともさまざまな決済手段を結び付けることで利用者を囲い込むねらいがあり、その戦略の中心としてスマホ決済とクレジットカードとの連携を強化する動きはさらに激しさを増しそうです。