アメリカ 半導体やAI分野の中国への投資を規制へ 中国は反発か

アメリカのバイデン政権は、半導体やAI=人工知能などをめぐる中国への投資を規制する新たな制度を導入する方針を明らかにしました。
中国側は反発するものとみられ、米中対立の火種となる可能性があります。

アメリカ財務省は、バイデン大統領が9日、半導体と量子技術、そしてAIの3つの分野について中国への投資を規制する権限を財務長官に与える大統領令に署名したと発表しました。

すでに実施している先端半導体などの中国への輸出規制を強化するもので、3つの分野について、安全保障上、深刻なリスクをもたらす技術や製品にかかわる投資を禁止するとともに、それ以外の特定の取り引きも政府への届け出を義務づけるとしています。

バイデン政権は軍事転用のおそれのある一部の先端技術では中国への輸出規制を強化する一方、それ以外の分野では経済活動を続ける方針を強調しています。

一方、中国政府は、半導体の材料などに使われる希少金属、ガリウムとゲルマニウムの関連品目について、今月1日から輸出規制を実施しました。

アメリカなどをけん制するねらいがあるとみられています。

先月にはアメリカのイエレン財務長官が中国を訪れ両国間の対話の継続を確認しましたが、今回のバイデン政権の方針に中国側は反発するものとみられ、米中対立の新たな火種となる可能性があります。

中国商務省の報道官 対抗措置を示唆

中国商務省の報道官は10日、談話を出し「アメリカの規制が企業の正常な経営の意思決定に影響を与え、国際的な経済貿易の秩序を破壊することに重大な懸念を示すとともに、措置をとる権利を保持している」として、対抗措置をとる考えを示唆しました。

そのうえで「アメリカが市場経済のルールと公平な競争の原則を尊重し、世界経済の回復と成長に障害を設けないよう望む」と述べ、アメリカをけん制しました。

磯崎官房副長官「今後の対応注視し引き続き意思疎通を」

磯崎官房副長官は記者会見で「大統領令はあくまでも新たな規制の策定を財務長官に指示するもので、具体的な措置は今後、アメリカ国内で意見を聴取をした上で検討していくと理解している。わが国としては規制の効果や影響も含めて、アメリカの今後の対応や検討状況ついて注視し、引き続き、よく意思疎通を図っていきたい」と述べました。