台風7号 暴風域伴い北上 来週には東・西日本に近づくおそれ

強い台風7号は暴風域を伴って発達しながら北上し、11日にかけて小笠原諸島に最も接近する見込みで、暴風や土砂災害に厳重な警戒が必要です。予想される進路にはまだ幅がありますが、今月14日の月曜日ごろには東日本や西日本に近づき、大荒れの天気となるおそれがあることから、最新の情報に注意してください。

台風7号の進路予想(21時推定)

気象庁によりますと、強い台風7号は10日午後9時には小笠原諸島の父島の南東150キロの海上を1時間におよそ15キロの速さで北西へ進んでいるとみられます。

中心の気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートル、最大瞬間風速は50メートルで、中心から半径130キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。

台風は暴風域を伴って発達しながら北上し、11日にかけて小笠原諸島に最も接近する見込みです。

このため小笠原諸島では一部の電柱が倒壊したり、建物の一部が広い範囲に飛んだりするおそれがある猛烈な風が吹く見込みで、
10日の
▽最大風速は25メートル、
▽最大瞬間風速は35メートル、
11日は
▽最大風速が35メートル、
▽最大瞬間風速が50メートルと予想されています。

伊豆諸島でも台風の接近に伴って次第に波が高くなり、
▽小笠原諸島では12日にかけて、
▽伊豆諸島では12日から大しけとなる見込みです。

また、小笠原諸島では12日にかけて大雨となる見込みで、特にこれから11日の夜のはじめ頃にかけて、非常に激しい雨が降るおそれがあります。

小笠原諸島では、
▽11日夕方までの24時間に降る雨の量が、多いところで250ミリ、
その後、
▽12日夕方までの24時間には100ミリから200ミリと予想されています。

小笠原諸島では暴風や土砂災害に厳重に警戒し、高波に警戒するとともに、低い土地の浸水や川の増水に十分注意してください。

東・西日本は14日ごろから大荒れの天気に

東日本や西日本では14日の月曜日ごろから大荒れの天気となり、お盆の時期に影響が出るおそれもあることから、最新の台風の情報に注意してください。

台風 接近見込みの小笠原諸島では

台風7号が12日にかけて接近する見込みとなっている小笠原諸島の父島で、10日の午前10時半ごろに撮影された映像では、草木が大きく揺れ、風が強まっているのがわかります。

また、空はどんよりとした雲に覆われていて、海は波が高くなっています。

街なかでは建物の窓ガラスが割れないように板でふさがれるなど、備えも進んでいる様子がわかります。

小笠原村役場によりますと、10日の午前中は父島では雨は降っていないものの風が強くなってきていて、ふだんは観光客でにぎわうビーチも人の姿はほとんど見られないということです。

村では10日午後から担当部署の職員が24時間体制で警戒にあたる方針で、夕方以降には避難所を開設する方向で調整を進めています。

台風が遠く離れていても 海に近づく際は注意を

海水浴に出かける方も多いと思いますが、台風が遠く離れていても海に近づく際は注意が必要です。

局地的な高波による被害が過去にも発生しています。

うねりを伴った波が100回から1000回に1度、最大で予想の2倍ほどの高波となって海岸を襲う現象で、「一発大波」とか「土用波」「フリークウェーブ」とも呼ばれています。

現在の台風7号のように小笠原諸島周辺など日本の南の海上に発達した台風がある際に、うねりが重なり合うことで起きやすいとされています。

過去には水難事故も発生していて、2002年10月には静岡県熱海市の防波堤で突然、高波が発生し、釣りなどをしていた17人が波にさらわれて2人が死亡しました。

このときは台風が小笠原諸島付近を北上していました。

波の高さの予想が2メートルであっても、最大で4メートルほどの高波が襲うこともあり、太平洋側の海岸に近づく際には注意するようにしてください。

週明け 広範囲で影響出るおそれ 3連休のうちに備えを

気象庁によりますと、10日午前11時の時点の情報で、関東甲信や東海、近畿で来週月曜日の14日から大雨や暴風が警報級となる可能性があり、特に東海では15日から暴風が警報級になる可能性が高くなっています。

台風の備えはハザードマップの確認や備蓄品の準備なども含めると時間がかかることがあります。

今回の台風は週明けの月曜日から影響が出るおそれもあり、この3連休のうちに備えを進めるようにしてください。

まずはハザードマップ確認

はじめに、あなたの周りにある災害のリスクを知るため、自治体が作る「ハザードマップ」を確認することが重要です。

パソコンやスマートフォンで「ハザードマップ」と打ち込み、自治体名を入力すると確認することができます。

お住まいの場所が「土石流危険渓流」や「地すべり危険箇所」、「急傾斜地崩壊危険箇所」など土砂災害のリスクのある地域として指定されていないか、確認してください。

また、
▽自宅が浸水すると想定される場合、浸水の深さも確認するほか
▽「家屋倒壊等(とう)氾濫想定区域」に指定されていないかもチェックしてください。

大雨の際にとどまってよい場所かどうかの目安となります。

過去の台風では災害が迫ると自治体のホームページにアクセスが集中し、ハザードマップが閲覧できなくなることもありました。

あらかじめ印刷しておくと安心です。

一方、まだハザードマップに浸水の想定がのっていない中小河川も多くあります。

地図上にリスクが示されていなくても、川の近くや低い場所に住む人は身の回りの状況や自治体の避難情報に注意し、より安全な場所に移動するようにしましょう。

備蓄や防災グッズの再点検

自宅などで保管している備蓄品や防災グッズもこの機会に再点検しておきましょう。

食料と水は最低3日分、停電や断水に備えて懐中電灯や携帯ラジオ、携帯トイレも準備しましょう。

去年の台風15号では断水が長期化した地域で、赤ちゃんが風呂に入れなくなることもありました。

オムツやおしりふきを多めに備蓄し、調理のいらない離乳食や液体ミルクなども必要に応じて準備してください。

また、避難所などでは限られたコンセントに人が集まり、“充電渋滞”ができるケースもあります。

電池などを使うタイプのスマホの充電器やモバイルバッテリーを用意しておくと安心です。

早めの暴風対策を

傘や雑誌、物干し竿など飛ばされやすいものは室内に片づけましょう。

強風で飛ばされると人や家屋に被害を与える“凶器”になるほか、停電の原因にもなります。

風が強まる前に、雨戸やシャッターを閉めて窓を守ることができるか確かめておくことも大切です。

雨戸やシャッターが無い場合は段ボールで覆ったり、飛散防止用のフィルムを貼るのが有効です。

ガラスが割れるとけがをするおそれがあるほか、割れた窓から強い風が吹き込むと家の屋根が飛ばされてしまうこともあります。

「無理な出勤はNG」

風や雨の予報を確認して不要不急の外出を避けるとともに、出勤や帰宅の時間を見直し、安全になるまでは外に出ないように心がけてください。

企業は社員に無理な出勤や帰宅をさせないことが大事です。

専門家「出勤見合わせの判断は連休中に」

静岡大学防災総合センターの牛山素行教授は「過去20年余りの風水害では仕事先で亡くなった人が60人近くにのぼっていて、決して少ない数字ではない。来週の平日の期間に台風が本州付近に接近してくることから、出勤の見合わせの判断などは連休中に行うことが命を守る上でも重要だ。また、風や雨が激しくなってしまった場合は、無理に帰宅しようとせず、職場での待機も検討し、そのための備えも進めてほしい」と話しています。

政府は情報連絡室を設置

台風7号の接近に伴い、政府は10日午後3時、総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置して情報収集と警戒にあたっています。