連日の厳しい暑さに、飼い主たちも熱中症への不安を募らせています。
犬は熱中症にかかりやすい? 対策は…
連日、暑い日が続いていますが、熱中症に気をつけなければならないのはヒトだけではありません。実は、犬も熱中症になるリスクがあるんです。注意点を調べてきました。
(大阪放送局 北川明日真)
「気付けるか不安」
飼い主
「熱中症はなったことがないから、そうなったときに症状が分かるか自信がないです」
「人間よりもっと暑く感じていると思うので、ネッククーラーを凍らせて冷たくしてつけています」
犬の方が熱中症になりやすい?
では、どのくらい心配したら良いのでしょうか。
話を聞いたのは、獣医師で大阪市内の動物病院の院長・橋本雄大さん。
福島中央動物病院 橋本雄大 院長
「人は汗をかくことで体の中の熱を外に逃がすことができますが、わんちゃんは汗をかくことがほとんどできないので、むしろわんちゃんの方が熱中症になりやすいのかなと思います」
橋本さんによると、犬は足の裏の肉球など体の一部にしか「汗腺」がないため、体温調節が苦手だということです。そして、この病院に熱中症を心配して連れてこられるペットの実に9割以上が「犬」だといいます。
橋本さんによると、
▽犬の呼吸がハアハアと荒くなる、
▽よだれがいつもより多い、
▽体温が40度近くまで上がっているような時には、熱中症を疑った方がよいということです。
症状が重くなると吐いたり、食べられなくなったりして、最悪の場合は死に至るケースもあるといいます。
橋本さんはこうした症状があらわれた場合、応急処置として、
▽全身に水をかけたり濡らしたタオルを体に巻いて体温を下げ、
▽水を飲ませることが大事だとしています。
ただ、水を無理に飲ませては誤嚥につながり危険なので、様子を見てほしいということでした。
「日中の散歩」に気を付けて!
汗をかきにくく、熱中症のリスクがあるという犬。
橋本さんは、この時期は「日中の散歩」に特に注意が必要だと指摘します。
犬は人に比べて地面から近い場所に体があるために暑さを感じやすい上、直射日光を浴びながら体を動かすことになるので、さらに体温が上がりやすくなってしまうからです。
さらに、日中の散歩は、熱くなったアスファルトで肉球がやけどするおそれもあるため、橋本さんは「できるだけ避けた方がよい」と話していました。おすすめはアスファルトもまだ熱くなっていない、早朝の時間帯の散歩だということです。
室内温度の目安は“25度以下”
また、室内で過ごす場合でも、エアコンを使って温度調整をする必要があるということでした。橋本さんによると、目安は25度以下で、人が「少し寒いな」と感じるくらいで、犬にはちょうどいいそうです。シベリアンハスキーなど犬種によっては、より低い温度が良い場合もあるということでした。
福島中央動物病院 橋本雄大 院長
「一度熱中症になるとそこからの進行はすごく早くて、最悪の場合、命を落とすことも珍しくないと思います。何よりも予防が大事なので、できる対策はして頂く方がいいです。少しでも様子がおかしいと思ったら、すぐに病院にかかって頂くことが大事です」
犬用スムージーも 対策グッズの活用を
熱中症を避けるために大切になるのが事前の対策です。大阪市内のペットショップを取材すると、様々な「熱中症対策グッズ」が並んでいました。
店によると、特に人気なのが、犬の首に巻く「ネッククーラー」と呼ばれるもの。体温の上昇を抑える効果があるということです。
ほかにも、保冷剤を入れることのできる犬用の服や、体の中から冷やすために凍らせて食べる犬用のスムージー、犬の体に吹きかける冷却スプレーまであります。
ペットグッズ専門店 ANZUDOG 店長
「動物を飼う人が増えたのと、企業の努力でいろんなグッズが増えています。散歩する時は体を冷やすグッズを使ったり、つけるのを嫌がる場合には体の中から冷やしてあげるなど、こういうグッズを使うのがいいかなと思います」
犬だけじゃない
今回は犬を取り上げましたが、動物病院の橋本さんによると、熱中症を心配して病院に連れてこられるのは猫のほか、ウサギやカメなどもいるそうです。
ヒトと違ってことばで不調を教えてくれないペットたちですから、それぞれの動物に適した室温に調整したり、様子をいつもより気を配るなど、注意する必要がありそうです。