熊本県 いじめの報告書 ホームページで黒塗り部分が閲覧可能に

5年前、熊本県の高校3年生がいじめを苦に、みずから命を絶ったことについて、県は再調査の報告書の概要版をホームページに公開していましたが、プライバシーに配慮して黒塗りにしていた部分が、一定の操作を行えば閲覧可能な状態だったことが分かりました。

5年前の2018年5月、熊本県北部の高校3年生で当時17歳だった深草知華さんは、いじめを苦に、みずから命を絶ちました。

このことについて、熊本県は2020年の5月に再調査した報告書の概要版をホームページに公開していました。

公開した文書には、プライバシーに配慮して黒塗りにしていた部分が3か所ありましたが、県によりますと、公開された当初からおよそ3年間、外部から一定の操作を行えば閲覧可能な状態だったことが分かりました。

8月4日に県教育委員会が、別のいじめ被害に関する報告書について、同じように黒塗りにした部分がホームページで見られる状況だったと発表し、これを受けて、県が調べたところ、今回の事例がわかったということです。

黒塗りされていたのは、学校の場所などで、熊本県は「すでに被害者の氏名が公表されており、黒塗り箇所の情報によって個人の特定につながる事態は生じない」としています。

県は4日、報告書を修正して再び公開し、生徒の遺族には電話で報告したということです。

遺族側は県に対し、今回の事例の対応などについて文書での報告を求める要望書を提出することにしています。

深草知華さんの母親の志乃さんは「3年間も黒塗りが外せる状態で公表されていたことを今まで気付けなかったことは、危機管理に欠けていたのではないかと思います。このようなことがあった経緯や対処法などを記録に残して、再発防止を約束してほしい」と話しています。