大阪・関西万博 千円銀貨1万3800円で販売へ 記念貨幣の価値は

2年後に開催を控える大阪・関西万博の記念貨幣の製造が大阪市の造幣局で7日から始まりました。

貨幣商の組合によると、記念貨幣の取引価格は催しの成否によっても左右されるということです。この貨幣に将来どのくらいの価値が生まれるのでしょうか。

大阪 北区の造幣局で開かれた打ち初め式には、大阪府の吉村知事や博覧会協会の石毛事務総長などが出席しました。

式では、参加者がスイッチを押すと、記念貨幣の製造が始まり、機械から新しい貨幣が出てくる様子がモニターに映し出されると会場から拍手が起こりました。

大阪・関西万博の記念貨幣

製造が始まった記念貨幣は、額面が1000円の銀貨で表面には大阪・関西万博の公式ロゴマークと人工島 夢洲の会場がカラーで描かれています。

また、裏面に描かれたロゴマークには細かい溝が刻まれた加工が施されていて、光が当たると反射して虹色に輝いて見えるようになっています。

式典では、地元を代表して大阪府の吉村知事があいさつし「海の上で行われる大阪・関西万博を体現するすばらしいデザインとなっている。美しい貨幣が子や孫の代にも伝わって、こんなすばらしい万博があったんだと思ってもらえるよう、皆さんと一緒に万博を作り上げていきたい」と述べました。

この記念貨幣はあわせて5万枚が製造され、消費税や送料込みで1万3800円で販売されます。

申し込みは、造幣局が8日から今月28日まで受け付けます。

記念貨幣これまで220種類以上

記念貨幣は、万国博覧会やオリンピック・パラリンピックの開催など国民的な行事などにあわせてつくられてきました。

記念貨幣などを扱う事業者でつくる日本貨幣商協同組合によりますと、初めて記念貨幣がつくられた1964年の東京オリンピック以降、その数はこれまでに220種類以上にのぼっているということです。

2011年の東日本大震災のあとには、被災地への寄付を目的とした記念通貨も発売されました。

日本貨幣商協同組合の林和実 専務理事は「記念貨幣はその時代ごとにあった出来事の記憶を刻むものとして価値が認められてきました」と話しています。

記念貨幣その価値は?

記念貨幣は原料の金や銀などがどのくらい含まれているかや、販売された数、それにデザインによって取引価格が変わってくるということです。

また、その催しに対する注目度が価格に大きく影響することがあります。

その一例が2019年に日本で開かれたラグビーのワールドカップです。

この大会、自国開催の日本は1次リーグを4戦全勝で通過し、初めて決勝トーナメントに進み、過去最高となるベスト8の成績を収め、多くの関心が集まりました。

ラグビーワールドカップの記念貨幣(銀貨)

大会のあと、記念貨幣の取引価格も跳ね上がったということで、千葉市内にある店舗では、当初、12万円で発売された金貨が、いまは倍以上となるおよそ25万円で販売されています。

金や銀の高騰も影響

さらに、このところの金や銀などの貴金属の高騰も記念貨幣の取引価格に影響しています。

大手貴金属会社の田中貴金属工業によりますと、金の価格は上昇を続けています。

金の小売価格は税抜きで、2018年7月には1グラムあたり4484円でしたが、2023年7月には8879円と、この5年間で倍近くになっています。

さらに8月1日には過去最高値となる9042円にまで上がっています。

愛・地球博の記念貨幣

2005年に愛知県で開かれた「愛・地球博」に合わせてつくられた金貨は、当初、4万円で発売されました。

2、3年ほど前には12万円から13万円程度で取り引きされていましたが、金の高騰を受けて、現在は17万円で取引されています。

林和実 専務理事は「金や銀などの高騰によって大阪・関西万博の記念貨幣も当初の発売価格がすでに高くなっているように感じます。大阪・関西万博が成功すればそれだけ記念貨幣の価値もあがりますので、大いに盛り上がってくれることを期待しています」と話していました。

金の価格上昇 なぜ?

記念貨幣にも影響しているという金の価格の上昇について、田中貴金属工業では「金の国内価格は2008年のリーマンショック以降、上昇の一途をたどってきたが、特に2020年のコロナショックによって世界経済が混乱し、前例のない大規模緩和に踏み切ったことで金で資産を守る動きが顕著となって価格が上昇している。
さらに2022年にはロシアによるウクライナ侵攻が始まったことがインフレに拍車をかけた。また、コロナによる大規模金融緩和を出口に向かわせる欧米各国と日本銀行の金融政策の違いにより円安が進行していることが、金の国内価格を押し上げていて最高値を更新した要因になっている」と分析しています。