東芝 株式非上場化目指すTOB 8日に開始 株主の賛同得られるか

東芝が、経営を安定化させる目的で、株式の非上場化を目指す、TOB=株式の公開買い付けが8日から始まることになりました。株主の賛同をどこまで得られるかが焦点で、巨額の資金の負担による財務の悪化など課題も残されています。

東芝は、アクティビストと呼ばれる海外の投資ファンドを事実上排除する目的で株式の非上場化を目指し、ことし3月、TOB=株式の公開買い付けに向けて、投資ファンドの日本産業パートナーズからの提案を受け入れました。

このTOBについて投資ファンドは、8月8日から9月20日にかけて実施すると発表しました。

買い付け価格は1株4620円で、株式の買い取りに必要な金額は総額で最大2兆円規模にのぼる見通しです。

東芝は、8月7日の取締役会でTOBに賛同するとともに、株主に対して「応募を推奨する」ことを改めて決議しました。

一方、ファンド側は、株式の66.7%以上の応募を買い付けの条件としていることから、株主の賛同をどこまで得られるかが焦点となります。

東芝は2015年に不正会計問題が発覚して以降、社長の辞任が相次ぎ、財務基盤の立て直しを目的にアクティビストの出資を受け入れた選択が、その後の経営の混乱につながりました。

今回のTOBが成立した場合、株式の買い取りに伴う巨額の資金の負担が財務の悪化につながることから、成長投資への資金の確保など経営課題は残ることになります。

4~6月決算 この時期では3年ぶりの最終赤字

東芝が8月7日に発表した、ことし4月から6月まで3か月間のグループの決算は、売り上げは7041億円で去年の同じ時期より4.9%減少しました。

最終的な損益は253億円の赤字となり、この時期としては3年ぶりの赤字となっています。

株式のおよそ4割を出資する半導体大手「キオクシアホールディングス」で、スマートフォンなどに使われる記憶用の半導体製品の需要の減少によって業績が悪化したことが主な要因です。

一方、来年3月までの1年間のグループ全体の業績予想については、キオクシアの業績の見通しがわからないとしたうえで、予想を据え置いています。

東芝 島田社長“現在の株主構成では成長困難”

TOBが8日から始まることについて、東芝の島田太郎社長は、オンラインで開かれた7日の会見で「現在の株主構成では中長期的に一貫した戦略を実行し、成長していくことが困難な状況にある。安定的な資本構成を実現するにはこの提案が最善の手段だと判断した」と述べました。

その上で島田社長は「東芝がきたる100年を新しい技術で人々の生活と社会を支え続けていくためには新たな一歩を踏み出すことが必要になる。今回はそのための公開買い付けだ」と述べ、株主に対して買い付けに応募するよう呼びかけました。