日銀 金融政策決定会合「主な意見」“物価の上振れリスク”

日銀は金利操作の運用を見直し一段の長期金利の上昇を容認することを決めた先月の金融政策決定会合の「主な意見」を公表しました。見直しの理由として物価が上振れるリスクや債券市場の副作用を挙げる意見が多かったことが分かりました。

日銀は先月28日まで開いた会合で、大規模な金融緩和は継続するとした上で金利操作の運用を見直し長期金利の変動幅の上限について市場の動向に応じ、事実上1%まで容認する方針を決めました。

先月の会合の「主な意見」によりますと、委員からは「物価の上振れ方向の動きが続く場合、長期金利を厳格に抑えることで債券市場の機能などに影響が生じるおそれがある」とか「市場に金利形成を極力委ねることが重要だ」、「将来的なリスクへの予防的措置として金利操作を柔軟化する」といった意見が相次いでいました。

一方、「現在の物価上昇は輸入インフレの域を出ておらず運用の柔軟化は中小企業の賃上げや稼ぐ力を確認した上で行うほうが望ましい」という否定的な意見も出ていました。

金利操作の運用の見直しは9人の政策委員のうち賛成8、反対1で決まりました。

今回の決定の背景には、日銀内部に物価の想定以上の上振れや債券市場の副作用のリスクを意識する声が増えていることがうかがえ、今後も物価や賃金、金利の動向が金融政策を決める上での焦点となりそうです。