スポーツクライミング世界選手権 女子リードで森秋彩が初優勝

スイスで行われているスポーツクライミングの世界選手権、女子リードで19歳の森秋彩選手が初優勝し、日本の女子選手として初めて世界選手権で金メダルを獲得する快挙を果たしました。

また、男子リードでも世界選手権初出場の16歳、安楽宙斗選手が銀メダルを獲得しました。

スイスで行われているスポーツクライミングの世界選手権は6日、一回のトライで壁を登り、制限時間内に登った高さを競う「リード」の男女決勝が行われました。

このうち女子は9人で争う決勝に準決勝を1位で通過した19歳の森選手と東京オリンピック銀メダリストの野中生萌選手が進みました。

森選手は持ち味の持久力と柔軟性を生かして高度を上げ、最後のホールドは足の力を使って飛び上がるようにしてつかみ壁を登り切る完登に成功しました。

決勝では東京オリンピックの金メダリストで、スロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手も完登しましたが、準決勝で上位だった森選手が優勝しました。

日本選手のリード種目での世界選手権制覇は男女を通じて初めてで、森選手は日本の女子選手として初の世界選手権金メダルという快挙を果たしました。

野中選手は中盤でバランスを崩して落下し、8位でした。

また、10人で争われた男子の決勝には高校生の安楽選手と20歳の百合草碧皇選手の日本勢2人が進出しました。

このうち、安楽選手は持ち味の軽やかな登りで終盤のホールドまで到達し、世界選手権初出場で銀メダルを獲得しました。

百合草選手は終盤のホールドに入る手前で落下しましたが、5位に入りました。

優勝はオーストリアの32歳、ヤコブ・シューベルト選手でした。

スポーツクライミングの世界選手権は、このあとパリオリンピックの代表選考がかかる「ボルダー&リード」が行われます。

森選手と安楽選手は、今大会のボルダーで決勝に残り、ともに得意とするリードでメダルを獲得し、この2種目の合計で争う「ボルダー&リード」でのオリンピック代表内定に弾みとしました。

森秋彩「ここからが本番 五輪目指す」

世界選手権のリードで初優勝した森秋彩選手は「準決勝は完登できなかったので悔しかったけど、決勝は完登できてうれしい」と笑顔で話しました。

決勝については「すごく緊張したがとにかくなかなか味わえない大きい舞台を楽しもうと思って一つ一つ手を出していったら気付いたら最終面に入っていた。最後のゴールは苦手なジャンプだったが悔いが残らないように思い切り飛んだら止まったのでその瞬間安心した」と振り返りました。

そのうえで、パリオリンピックの代表選考がかかるボルダー&リードに向けては「ここからが本番という感じでしっかり疲労を抜いて、表彰台に乗ってオリンピックを目指して頑張りたい」と意気込みを話していました。

安楽宙斗 五輪選考に向け「集中して最高の結果を」

銀メダルを獲得した安楽宙斗選手は「観客の歓声もあってすごく楽しかった。それに加えて自分の限界まで粘れたのでとにかく気持ちよかった」と決勝を振り返りました。

そのうえで「ボルダーもリードもいい成績で来ている。ボルダー&リードは1回でもミスしてしまうとすごい大きな損になってしまうので、ボルダーは1回ずつ、リードは1ルートしっかり集中して最高の結果を出したい」と話しオリンピック代表選考がかかるこのあとの種目を見据えていました。