高校野球 仙台育英が浦和学院に勝利 2回戦へ進む

夏の全国高校野球、大会1日目の第3試合は、夏連覇を目指す宮城の仙台育英高校が埼玉の浦和学院との打撃戦を19対9で制して2回戦に進みました。

仙台育英は1回、3連続タイムリーヒットで4点を先制しました。

さらに3回には7番・尾形樹人選手のツーラン、8番・湯田統真投手のソロと連続ホームランなどで5点を追加しました。

対する浦和学院は4回、1年生の4番・西田瞬選手、2年生の5番・三井雄心選手の連続タイムリーヒットなどで4点を返しました。

このあと仙台育英が6回に5点を追加すれば、浦和学院は7回にすぐさま5点を返しました。

両チーム合わせて37本のヒットが出た打撃戦は、8回にも4点を加えた仙台育英が19対9で浦和学院に勝って2回戦に進みました。

浦和学院は今大会随一と言われる仙台育英の投手陣から18安打9得点を奪い、持ち味の攻撃力を発揮しましたが、6人の投手が打ち込まれたほか、エラー6つと守りにもほころびが出て粘りきれませんでした。

仙台育英 須江監督「点差以上にきっ抗している感覚」

2連覇を目指す夏の甲子園で初戦を突破した仙台育英高校の須江航監督は、「浦和学院の打撃力の強さは認識していましたが、ここまで打たれた試合は初めてで、想定を超えていました。点差以上にきっ抗している感覚が常にあったので、スクイズで逃げきることを意識していました」と振り返りました。

次の試合に向けては「投手陣には初戦の気負いがあったかもしれないので、反省しながら一度リフレッシュして次の試合に臨みたいです」と話していました。

仙台育英 山田主将「成長して優勝を目指す」

夏連覇を目指す仙台育英高校のキャプテン、山田脩也選手は「点の取り合いになることは想定していませんでした。弱かった打撃を強化するために早朝から晩まで打つ練習をしてきた結果、1回から打撃につなげることができたのはよかったと思います」と振り返りました。

そのうえで、「一つ一つ丁寧に勝ち上がりながら成長して優勝を目指したいです」と話していました。

仙台育英 湯田投手「序盤以降に甘さが」

先発のマウンドに立ち、ホームランも打った仙台育英高校の湯田統真投手は、「投手陣が持ち味のチームですがヒットをたくさん打たれ野手に助けれた試合となりました。両チームふた桁安打の試合は初めてで、序盤以降に甘さが出てしまいました」と振り返りました。

そのうえで「試合の中盤でも甘さを出さずにしっかりと押さえられるよう練習をしていきたいです」と話していました。

浦和学院 森監督「守りの部分で後手に」

浦和学院の森 大 監督は打撃戦となった試合について、「3回の相手の2本のホームランから引いてしまった部分がありました。攻撃の部分はよくボールを捉えてくれていましたが、守りの部分で後手に回ってしまったのが大きな敗因です」と振り返りました。

森監督はこの試合、7月、がんのため45歳の若さで亡くなった、元プロ野球選手で野球部OBの三浦貴コーチの写真を携えて指揮していたということです。

森監督は「最後まで諦めずに粘り強く戦えたという姿勢は三浦先生が選手たちに仕込んでくれた浦和学院の伝統であり、三浦先生の教えだと思います。選手たちはこの姿勢を存分に見せてくれたので本当に感謝しています」と話しました。

そのうえで、「今回の悔しさをバネにして、三浦先生がいないなかで浦和学院がさらに強くなっていくために、悔しい思いをした下級生とともにはい上がっていきたいです」と決意を新たにしていました。

浦和学院 江口主将「試合の流れつかみにくかった」

4回に、2点タイムリーツーベースを打った浦和学院のキャプテン、江口英寿選手は「仙台育英の打線は打球速度も速く、しっかりバットを振ってきて甘い球を見逃してくれませんでした。試合の流れをつかみにくかったです」と話したうえで、「集中力をもってプレーすることが課題だったのですが、甲子園という舞台で集中打で点が取れたところは成長したところだと思います」と去年の優勝校から18安打で9得点のチームを評価しました。

また、7月がんで亡くなった三浦貴コーチについて「『何かを得たいなら、何かを起こさないと得られない』とずっと言われていました。バッテイングでいえば、ツーストライクまで見たところで打てるわけではないと、初球からどんどん振ろうという意識でした」と話しました。

そのうえで、三浦コーチからは、『甲子園はお祭りだ』とも教えられていたということで、江口選手は「3年間やってきた最後の集大成の舞台となる甲子園で楽しんでこいよという意味だと思います」と話していました。

浦和学院 西田選手「次は自分が引っ張って 甲子園で活躍を」

1年生ながら浦和学院の4番として、2安打2打点の活躍をみせた西田瞬選手は、「球場に入った瞬間、観客の声援やその場から特別な雰囲気を感じて、最初は緊張しましたが、試合をやっていくにつれて楽しくなっていました」と初めての甲子園を振り返りました。

そのうえで「この経験を生かして次は自分が引っ張って、甲子園で活躍できるようにしたい」と話していました。

仙台育英 大量19得点で投手陣を援護

仙台育英は春のセンバツでは見られなかった打線が爆発。

大量19得点でこれまで支えられてきた投手陣を援護しました。

去年の夏、東北勢として初めて優勝を果たした仙台育英。

150キロ台の速球を投げる3人のピッチャーをそろえるなど全国屈指と言われる強力な投手陣がチームを支えてきました。

優勝候補として臨んだことしの春のセンバツでは、自慢の投手陣が強豪校を相手に少ない失点で粘ったものの、チャンスで打線がつながりを欠き、長打は3試合で1本のみで準々決勝で敗退しました。

夏連覇を狙ううえで攻撃面の底上げが欠かせないと感じた選手たち。

宮城大会の前、1日の練習のほとんどをバッティングに充てる日々を2週間ほど続けました。

このうち春先から不調に陥っていたキャッチャーの尾形樹人選手は、午前8時半からの朝練習の2時間前からグラウンドにひとり顔を出し、須江航監督がつきっきりでバッティング練習に取り組んだといいます。

「打撃投手を務めてくれて、ノックが打てないほどのけんしょう炎になった監督に恩返しがしたい」と強い気持ちで乗り込んだ夏の甲子園。

初戦の相手は埼玉大会7試合で5失点と、こちらも安定した投手陣を誇る浦和学院でした。

須江監督は「打てるチームではないのでロースコアの試合になる」と予想。

しかし、バッティングに力を入れた尾形選手が甲子園初のホームランを打つなど仙台育英が序盤から大量リード。

終わってみれば、先発全員安打となるヒット19本と打線がつながり、2本のホームランを含む6本の長打も飛び出しました。

一方、自慢の投手陣は大会注目の湯田統真投手と高橋煌希投手があわせて9失点し、不安が残りました。

ホームランを含む5打数3安打の尾形選手は「本来は投手陣が持ち味のチーム。次の試合ではキャッチャーとしてピッチャーをうまくリードしながら今日のように打撃でも援護したい」と意気込んでいました。

投手力に加え、打撃力も連覇を狙える実力があることを示した仙台育英。

「想定していなかった」という打撃戦を制し、『魔物がすむ』と言われる甲子園で確実に駒を進めました。