秋本議員 馬主組合口座を1人で管理か 洋上風力発電めぐる事件

自民党を離党した秋本真利衆議院議員が、洋上風力発電をめぐる贈賄の疑いで捜索を受けた風力発電会社の社長とともに設立した馬主組合の口座の管理や競走馬の購入などを、1人で行っていたことがわかりました。
社長は、この組合のためとしておよそ3000万円を提供していて、東京地検特捜部は、組合を実質的に管理する秋本議員個人への賄賂だった可能性があるとみて調べているものとみられます。

政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐる収賄の疑いがあるとして秋本真利衆議院議員(47)の事務所が捜索を受けた事件で、東京地検特捜部は、5日、贈賄の疑いで、東京・千代田区の風力発電会社「日本風力開発」の本社と塚脇正幸社長の自宅を捜索しました。

弁護士によりますと、塚脇社長は、競走馬の馬主仲間で、ともに馬主組合を設立した秋本議員の求めに応じて、現金で手渡したり口座に送金したりして、おととし10月からことし6月までの間に、およそ3000万円を提供しましたが、組合の口座の管理や競走馬の購入などは秋本議員が1人で行っていたということです。

秋本議員は、こうした資金提供の前後に、国会で、洋上風力発電事業への参入を目指す日本風力開発が有利になるような質問をしていて、特捜部は、社長から提供された資金は組合を実質的に管理する秋本議員個人への賄賂だった可能性があるとみて調べているものとみられます。

これに対し塚脇社長の弁護士は、「組合設立の契約は知人名義で結んだが、実際には組合の持ち分の45%は社長のもので、賄賂を贈った疑いがあるという指摘は全く事実と違う」と説明しています。

日本風力開発「誠に遺憾」

東京地検特捜部による捜索を受けた日本風力開発は「このような事態に至りましたことは誠に遺憾であり、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを、深くおわび申し上げます。引き続き捜査が継続中であることから、詳細につきましては公表を差し控えさせていただきます。引き続き、当社は事件の解決に向けて、関係当局による捜査に全面的に協力してまいります」とするコメントを出しました。

岸田首相「国民の疑念招くような事態 大変遺憾」

岸田総理大臣は広島市で記者会見し「いま捜査が進んでいる最中なので具体的に政府として答えることは差し控えなければならない」と述べました。

そのうえで「国民の疑念を招くような事態になったことについては大変遺憾に感じている。こうした事態が政府の政策実行に支障をもたらすことがないように政府一丸となって取り組んでいかなければならない」と述べました。

立民 泉代表「離党したとはいえ、自民党として経緯明らかに」

立憲民主党の泉代表は、広島市で記者団に対し「自ら外務政務官を辞め、自民党を離党しており、相当自覚があるのだろう。『議員を辞めなくていいのか』と問わねばならず、早急に本人から説明してもらう必要がある」と述べました。

そのうえで「政務三役の任命という点で言えば、岸田総理大臣には当然、任命責任がある。離党したとはいえ、自民党として秋本氏が国会で質問した経緯などを明らかにする必要がある」と述べました。

維新 馬場代表「即刻 議員を辞職すべき」

日本維新の会の馬場代表は、広島市で記者団に対し「役職を辞任し、離党もしているが、即刻、議員を辞職すべきではないか。政治とカネの問題は、政治と政治家に対する信頼を落としていくので、党内で襟を正して職務にあたっていくことを徹底していきたい」と述べました。

公明 山口代表「国民の信頼を傷つけ、本当に遺憾」

公明党の山口代表は、広島市で記者会見し「国民の信頼を傷つけており、本当に遺憾なことだ。秋本議員は、自分自身の言い分があるなら、捜査の中で明らかにしてほしい」と述べました。

共産 志位委員長「離党して一丁上がり 通用しない」

共産党の志位委員長は、広島市で記者団に対し「秋本氏は何の説明もないまま離党したが、自民党も政府もきちんと問題を明らかにして国民に報告することを最優先でやらないといけない。政府の要職にもあったのだから政府としても事案の解明責任が必要だ。離党して一丁上がりということは通用しない」と述べました。

国民 玉木代表「疑惑についてしっかりと説明を」

国民民主党の玉木代表は、広島市で記者団に対し「自民党をはじめとした一部議員に『再エネ利権』が生まれてきているのではないか。離党では済まされず、秋本氏は記者会見で疑惑についてしっかりと説明すべきだ。岸田総理大臣には自民党総裁としても説明責任があり、それができなければ今後の政権運営も厳しくなり、衆議院選挙の戦略や時期にも大きな影響を与えてくるだろう」と述べました。