ラグビー日本代表 フィジー代表とのテストマッチに敗れる

来月開幕するラグビーワールドカップに向けて強化を図る日本代表は、今夜、大会前の国内最後のテストマッチとしてフィジー代表と対戦し、12対35で敗れました。

《試合概要は》

世界ランキング12位の日本代表は、来月フランスで開幕するワールドカップに向けて強化を進めています。5日は、ワールドカップ前の国内最後のテストマッチとして東京・秩父宮ラグビー場で世界10位のフィジー代表と対戦しました。

日本は、前半4分にディフェンスの隙を突かれて先制トライを許すと、7分には、この試合がけがからの復帰戦となったフランカーのピーター・ラブスカフニ選手が、頭付近への高いタックルで退場となりました。

開始早々、1人少ない14人で戦うことになった日本は、このあと接点で劣勢となり、2つのトライを許すなどして0対21とリードされて前半を終えました。

後半は、フォワード第1列の3人を入れ替えるなど流れを変えようとしますが、18分にトライを奪われ、その後のキックも決められ0対28とさらに突き放されました。

セミシ・マシレワ選手がトライ

日本はその後、疲れの見え始めたフィジーに対しスピードのある攻撃を仕掛け、31分にジョネ・ナイカブラ選手、37分にはセミシ・マシレワ選手がトライを決めて粘りを見せました。

しかし、終了間際にもトライを奪われ12対35で敗れました。

15日にW杯 日本代表33人発表へ

日本代表は、このあといったん解散となり、今月15日にワールドカップの登録メンバー33人が発表される予定です。

その後ヨーロッパに移動し、現地時間の26日にイタリアとテストマッチを行って本番に備えます。

ジョセフHC「タックルは改善しなくてはならない」

日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、レッドカードが出たピーター・ラブスカフニ選手のタックルについて「序盤にキープレーヤーを失い、かなり厳しい状況になってしまった。14人でクオリティーの高いチームに勝つことは難しい。タックルの技術については適応していかなければならない。上体が高くなっていた」と厳しい表情で振り返りました。

その一方で「14人でのアタッキングラグビーはすばらしかった。タックルは改善しなくてはならないが、大きくリードされながら2つのトライを取れたことはよかった」と前を向きました。

長田智希 選手

また、今シーズンのテストマッチで初出場となった下川甲嗣選手や、鋭いランでの突破を見せた23歳の長田智希選手については具体的に名前をあげて褒めていました。

姫野和樹 共同主将「突き進むしかない」

この試合で共同キャプテンを務めた姫野和樹選手は、序盤から14人での戦いになった試合を振り返り「難しい試合になったが、それを言い訳にすることはできない。プランは変更するしかなかったが、そこで自分たちのラグビーができなかったことは至らない部分だと思う。ワールドカップでこういう状況が起こる可能性もあるので、結果を真摯に受け止めて今後も自信を持って、信念を持って突き進んでいくしかない」と必死に前を向きました。

そして会場に詰めかけたファンに向けて「残念な結果に終わりましたが、ワールドカップへの道のりはまだまだ途中なので、日本代表の応援をこれからもよろしくお願いします」と呼びかけました。

【解説】国内最後のテストマッチ 本番へ不安の残る内容

ワールドカップ前の国内最後のテストマッチは、後味の悪い結果となりました。この試合、序盤からこれまでの試合で課題となっていた部分が次々と出ました。

例えば
▽チャンスでボールを落とすノックオン
▽攻守の切り替わりで突破を許す守備
▽退場者を出す高い危険なタックル

ここまでの強化試合とテストマッチ4試合で出た反省を生かすことができませんでした。

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、試合前「チームができあがっている感触がある」と手応えを口にしましたが、皮肉にも改善されないまま国内最終戦で再びミスを露呈する形になりました。

また、6月の浦安合宿から鍛えてきたタックルも、この試合では相手を倒しきるところにまで至りませんでした。

この試合で相手とぶつかったあとに前進した距離の合計は
▽日本の120メートルに対し
▽フィジーは219メートル。

開始早々に1人少ない14人になったとはいえ、個人レベルで明らかに差があり、日本はフィジカルの違いを見せつけられました。

共同キャプテンを務めた姫野和樹選手は、試合後、ファンに向けて「ワールドカップに向けてまだ旅路の途中だ。この結果を受け止めて絆を持って修正していきたい」と気丈にふるまい、秩父宮ラグビー場に詰めかけたファンからは温かい拍手が送られました。

こうした熱心なファンの期待に応えることはできるのか。

ワールドカップ開幕まで残された時間は1か月。
日本の修正力が問われます。