サウジアラビア 原油の自主的な追加減産 9月まで延長と発表

世界有数の産油国のサウジアラビアは、先月から行ってきた1日当たり100万バレルの原油の自主的な追加減産を来月まで延長すると発表しました。原油価格を下支えするねらいがあるとみられます。

サウジアラビアが主導するOPEC=石油輸出国機構と、ロシアなどの非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は、ことし6月に行われた会合で協議が難航したことによって、全体でのさらなる原油の減産には至りませんでした。

この会合でサウジアラビアは7月の1か月間、自主的に1日当たり100万バレルの追加減産を実施すると表明し、その後、8月までの延長を明らかにしていました。

これについてサウジアラビアのエネルギー省は3日「自主的な減産を9月も行う。さらなる延長、減産も可能だ」と発表し、市場の動向によっては期間の延長だけでなくさらなる減産も辞さない姿勢を示唆しました。

国家の歳入の多くを石油に依存するサウジアラビアとしては、自主的な追加減産を続けることで原油価格を下支えするねらいがあるとみられています。

ニューヨーク原油市場で国際的な取り引きの指標となるWTIの先物価格はことし前半には1バレル=70ドルを割り込む水準で推移する時期もありましたが、サウジアラビアが自主的な追加減産を始めた先月からは上昇傾向にあり、3日は減産の延長発表を受けて一時、1バレル=81ドル台まで上昇しています。

松野官房長官「日本経済に及ぼす影響 注視」

松野官房長官は記者会見で「国際的なエネルギー市場の動向や物価高を含む日本経済に及ぼす影響について緊張感を持って注視するとともに、国際エネルギー機関や主要消費国との連携を強化しつつ、産油国に対して対話・連携の重要性を指摘しながら、増産や生産余力への投資を通じた世界の原油市場の安定化を働きかけていく」と述べました。

そのうえで、国内で高騰が続くガソリン価格への対応について「激変緩和事業によって、国民生活や経済活動への影響を緩和してきた。10月以降の対応については、原油価格の動向を注視したい」と述べました。