【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア国防相 前線司令部を視察 欧米側をけん制

ロシア国防省が4日、公開した動画によりますとショイグ国防相は前線司令部を視察し、ウクライナ東部で戦う部隊の指揮官から戦況の報告を受けていました。場所は明らかにしていません。

また、ウクライナ軍に対してスウェーデンが供与したとみられる歩兵戦闘車CV90を奪ったとする映像を流し、欧米の軍事支援をけん制しました。

ロシア国防省は今月1日には軍事侵攻の総司令官を務めるゲラシモフ参謀総長が占領しているウクライナ南部ザポリージャ州の司令部を視察したとする映像を公開したばかりで、兵士の士気を高めるねらいもあるとみられます。

一方、ロシア軍は連日、無人機を使って首都キーウやウクライナ産の農産物の輸出拠点がある南部オデーサ州で攻撃を続けています。

こうした拠点の一部はルーマニアと国境を接するドナウ川沿いにあります。

ルーマニアはNATO=北大西洋条約機構に加盟しており、イギリス国防省は4日、ロシア軍はNATO側との緊張がさらに高まるリスクを避けるため巡航ミサイルではなく、搭載する弾頭が小さい無人機で攻撃している可能性があると分析しています。

米 ウクライナ長期支援で協議開始

アメリカ国務省によりますと、アメリカとウクライナは、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナを守るための長期的な支援を提供する2国間の新たな枠組みの構築に向けて協議を始めたということです。

NATOへの加盟を目指すウクライナをめぐっては、7月、リトアニアで開かれたNATOの首脳会議で、加盟に向けた具体的な見通しは示されませんでしたが、アメリカなどG7=主要7か国は、加盟が実現するまでの間、ウクライナを守るための長期的な支援を行う方針を明らかにしていました。

アメリカ国務省は「現在のウクライナを守ると同時に将来的なロシアの侵略を抑止するための持続可能な軍事力の確保などに焦点をあてたものとなる」と強調しています。

一方、ウクライナのイエルマク大統領府長官も協議を始めたことを明らかにした上で「最大の戦略的パートナーであるアメリカが、協議を開始する最初の国となったことは象徴的だ。ウクライナのEUやNATOへの加盟に向けて後押しとなる」としています。

ロシア国防相 北朝鮮訪問で武器売却働きかけか

ロシアのショイグ国防相は朝鮮戦争の休戦協定の締結から70年となるのにあわせて7月下旬、北朝鮮を訪れ、カン・スンナム国防相やキム・ジョンウン(金正恩)総書記と相次いで会談しました。

この訪問についてアメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は3日、記者団に対し北朝鮮に対して武器を売却するよう働きかけることが目的だったと指摘しました。

その上で「ロシアは砲弾の購入などを通じて北朝鮮との軍事協力を強化することを目指している」と述べました。

また「ロシアへの軍事支援を北朝鮮が検討し続けていることを懸念している。北朝鮮とロシアの間のいかなる武器の取り引きも国連安全保障理事会の決議に違反するものだ」と述べてけん制しました。

カービー調整官は欧米各国の経済制裁を受けるロシアが、北朝鮮やイランに支援を求めて接触していると指摘し、ロシアの活動に関する情報を積極的に公開することで対抗していく考えを示しました。

ロシア 無人機飛来も被害なし

ロシアでは、首都モスクワ南西のカルーガ州にあわせて7機の無人機が飛来したと3日、州知事が発表しました。ロシア国防省は、無人機はウクライナ側によるもので、けが人や建物の被害はなかったとしています。

さらに、ロシアでは首都モスクワのビジネス街の高層ビルなどにも連日、無人機が相次いで飛来しています。

これについてウクライナ側は関与を明言していませんが、攻撃に使われた無人機にはウクライナ製のものが含まれていたという見方も出ていて、ロシアとウクライナで無人機による攻防が一段と激しくなっているとみられます。

ゼレンスキー大統領「ロシア無人機1961機を使用」

ウクライナ軍によりますと、3日、ロシア軍が15機のイラン製の無人機で攻撃を仕掛けてきたもののすべて撃墜したということです。首都キーウの当局は2日連続で無人機の攻撃が行われたとしています。

ゼレンスキー大統領は、3日、「テロリストはイラン製の無人機『シャヘド』をこれまでに少なくとも1961機使った」と明らかにし、ロシア側を非難しました。その上で「できるだけ多くの無人機を撃ち落とせるように努力している」と述べ防空システムを強化していく考えを示しました。

国連安保理の公開討論 食料安全保障で米ロ非難応酬

国連安保理の8月の議長国アメリカは3日、紛争による世界の食料不安をテーマにした公開討論を主催し、ブリンケン国務長官が出席しました。

これに合わせてアメリカは、特定の国や地域には言及しない形で「戦争に市民の飢餓を利用することを強く非難する」とした議長声明をとりまとめ、発表しました。

一方、公開討論では、ウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行をロシアが停止したことについて各国から非難が相次ぎました。

ブリンケン国務長官は「ロシアは合意の履行を停止した後、ウクライナの穀物倉庫を爆撃し、機雷を設置し、あらゆる船を攻撃すると脅した」と非難した上で「われわれはロシアの侵略戦争とそれに伴う世界の食料システムへの攻撃に対処しなければならない」と述べました。

これに対し、ロシアのポリャンスキー国連次席大使は「世界には十分な食料があるが、問題は偏っていることだ。西側諸国は過剰に蓄えているが発展途上国では不足している。美しい声明をまとめるのではなく、必要なのは行動だ」などと主張し、非難の応酬となりました。

ウクライナに向かう貨物船 NATO警戒強化か

ロシアは7月、ウクライナ産農産物の輸出を巡る合意の履行を停止し、黒海でウクライナに向かう船舶は軍事物資を輸送している可能性があるとみなすと警告しました。黒海にコルベット艦を配備するなどしたロシア海軍が、ウクライナに向かうとみなした船舶を妨害するという見方も出ています。

こうした中、複数の海外メディアは、船舶が発する位置情報をもとに、7月30日、3隻の貨物船が黒海を航行し、ウクライナ南部のドナウ川沿いにあるイズマイルの港に向かったと伝えました。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、3隻は、ウクライナに向かう際、ロシアの軍艦や機雷を避けるためNATO=北大西洋条約機構に加盟するブルガリアとルーマニアの領海内を航行したと報じています。

さらに、欧米メディアは、3隻が航行している際に、アメリカ軍のP8哨戒機や無人偵察機「グローバルホーク」それにNATOの早期警戒管制機がルーマニアや黒海などの上空を飛行していたと伝えていて、NATOが警戒と監視を強化し、ロシアを強くけん制したとする見方も出ています。

今回、3隻の貨物船は、ロシア側の妨害などは受けなかったとみられますが、黒海では緊張した状況が続いていて、ウクライナ産の農産物がほとんど輸出できていない状態に変わりはありません。

ウクライナ 市民の死者1万人超え

ウクライナ検察の幹部は2日、インターファクス・ウクライナ通信のインタビューに対し、去年2月にロシアの軍事侵攻が始まってから犠牲となった市民の死者数が1万749人にのぼると明らかにしました。このうち499人が子どもだとしています。ただ、ロシアに占領された地域では確認が困難なため、実際の死傷者数は大きく増える可能性があると指摘しています。

また、ウクライナ軍は3日、ロシア軍がイラン製の15機の無人機で攻撃を仕掛け、すべて撃墜したと発表し、首都キーウの当局は2日連続で無人機の攻撃が行われたとしています。

一方、ロシアの首都モスクワ南西のカルーガ州の知事は3日、あわせて7機の無人機が州内に飛来し、いずれも撃墜されたと発表しました。ロシア国防省は、攻撃はウクライナ側によるものだとしていて、けが人や建物の被害はなかったとしています。ロシアでは首都モスクワのビジネス街の高層ビルなどにも連日、無人機が相次いで飛来しています。ウクライナ側は関与を明言していませんが、攻撃に使われた無人機にはウクライナ製のものが含まれていたという見方がでていて、ロシアとウクライナで無人機による攻防が一段と激しくなっているとみられます。

ウクライナ 日本の地雷探知機使った訓練

ウクライナの首都キーウ近郊のブチャでは、ことし4月から日本が供与した探知機「ALIS」を使って、地雷を除去する訓練が行われています。

この地雷探知機には地中の様子がわかるレーダーが組み込まれていて、金属製の物体を検知すると、モニターに赤い色で表示され、その形状もわかるということで、3日に行われた訓練では、対戦車地雷を発見する手順を確認していました。

除去作業を担当するイワン・シェペリエフさん(25)は「ウクライナは世界で最も多くの地雷が埋められた国の1つであり、日本の皆さんからの支援は非常に重要だ。今後も除去に使うさまざまな装置が必要だ」と話していました。

関係者によりますと、今後、日本から、およそ50台の同じ地雷探知機が新たに供与される見通しだということです。