「上げ馬神事」馬 骨折し殺処分で県「ガバナンス不十分」指摘

若者が馬に乗って急な坂を駆け上がる三重県桑名市の神社で行われている伝統行事「上げ馬神事」について、ことし5月の神事で馬が転倒して骨折し、殺処分の対応がとられたことなどから「動物虐待ではないか」という指摘が県などに相次いで寄せられています。

こうした中、県の審議会は「十分なガバナンスがとられていない」として、この神事の実施主体を明確にすることなどを求める意見をとりまとめました。

「上げ馬神事」は、三重県桑名市の多度大社で680年以上前から行われているとされ、三重県の無形民俗文化財にも指定されている伝統行事です。

神事では若者が馬に乗って急な坂を駆け上がり、頂上の壁を越えた回数で農作物の作柄などを占いますが、ことし5月の神事で、馬1頭が転倒して骨折し、獣医師による殺処分の対応がとられたことなどから▽動物虐待だと指摘する声や▽文化財の指定の解除を求める声がSNS上で広がっているほか、県などにも同様の声が相次いで寄せられています。

こうした中、三重県は3日、文化財保護に関する審議会を開きました。

会議は非公開で行われましたが、審議会によりますと▽神事のガバナンスが十分に行き届いておらず、多度大社や地元の代表の間で神事を行う主体を明確にすることや▽人と馬ともに事故がないよう安全管理を徹底することなどを県が主催者側に求めるべきだとする意見をとりまとめ、県教育委員会に提出したということです。

審議会の岡野友彦会長は「動物愛護などに関する法律を順守した上で、現代にあった祭りとなるようにしてほしい」と話しています。