マイナ保険証 資格確認書 有効期間上限を5年に 政府案まとまる

来年秋に今の健康保険証を廃止する方針をめぐり、国民の不安払拭(ふっしょく)に向けた政府の対応策の案がまとまりました。
マイナンバーカードと一体化した保険証を持っていない人に交付する「資格確認書」について、1年としている有効期間の上限を5年に延ばすとしています。

来年秋に今の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化させる方針について、政府は当面、維持する方向で調整している一方、国民の不安払拭を図る対応策を検討していて、その案をまとめました。

それによりますと、今の保険証の廃止後も、カードと一体化した保険証を持っていない人が確実に必要な医療を受けられるようにするため、今後保険証の代わりに交付する「資格確認書」の運用方針を見直すとしています。

具体的には、原則、本人の申請に基づいて交付するとしているルールを改め、申請を待たずに対象者すべてに職権で交付するとしています。

また、いったんマイナンバーカードと一体化した保険証を取得したあとも、希望すれば利用登録を解除して「資格確認書」を持つことを選べるようにするとしています。

さらに、1年としている「資格確認書」の有効期間の上限を5年に延ばし、具体的な期間は健康保険を運営する組合が設定するとしています。

また更新に必要な手続きの負担を軽減することも盛り込まれていて、この案をもとに政府内で詰めの協議が続けられています。

岸田首相 4日に会見で説明へ

岸田総理大臣は、マイナンバーカードをめぐるトラブルを受けた総点検の状況や対応方針について、4日、関係閣僚から報告を受けた上で、夕方に記者会見を開き、マイナンバーカードに対する国民の信頼を回復するための対策などを説明する考えを示しました。

来年秋に今の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化させる方針について、政府は当面、維持する方向で調整している一方、国民の不安払拭を図る対応策を検討しています。

こうした中、岸田総理大臣は3日午後、前橋市を訪れ、公共交通機関を利用する際にマイナンバーと連携させた交通系ICカードを使って料金の割り引きを受けられるサービスを体験したほか、JRの職員がマイナンバーカードの利用方法などに関する質問を受け付ける相談所を視察しました。

このあと岸田総理大臣は記者団に対し「保険証の移行のあり方やデジタル化の取り組みについて、これまで関係者の声や意見を聞いてきた。あす関係大臣からトラブルを受けた総点検の現時点での状況や対応方針について報告を受ける」と述べました。

そのうえで「その内容も踏まえてデジタル化に向けた決意と、その前提となるマイナンバーカードに対する国民の信頼回復のための対策について、あすの夕方に会見を開き、私から説明したい」と述べ、4日にみずから説明する考えを示しました。

松本総務相「信頼回復できるよう取り組んでいく」

松本総務大臣は、視察先の茨城県つくば市で記者団に対し「政府として、マイナンバーカードと一体化した保険証は、質の高い医療の提供につながるものだと申し上げている。国民の命につながることでもあるので、しっかりと信頼をいただいて活用してもらえる環境づくりに努めていく」と述べました。

その上で「課題が突きつけられた時に議論するのは大事なことで、さまざまな意見があるのは、そうだろうと思う。政府の一員としては国民の信頼を回復できるよう、一斉の点検を含めて、やるべきことにしっかりと取り組んでいく」と述べました。