長期金利 一時0.655%まで上昇 2014年1月以来の水準に

3日の債券市場では日本国債を売る動きが強まり、長期金利は、一時、0.655%と2014年1月以来の水準まで上昇しました。

国債は売られると価格が下がって、金利が上昇するという関係にあります。

日銀は先週開いた金融政策を決める会合で、これまで0.5%程度としてきた長期金利の変動幅の上限について、市場の動向に応じ、事実上、1%まで容認する方針を示しました。

また、アメリカの長期金利は、大手格付け会社がアメリカ国債の格付けを引き下げたことに加え、雇用に関する統計の結果から、金融引き締めが続くのではないかという見方が広がったことなどを受けて上昇しています。

こうしたことから、市場では金利の上昇圧力が高まっていて、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りは、2014年1月以来となる0.655%まで上昇しました。

市場関係者は「日銀の金融政策を背景に市場が長期金利の上昇の余地を探る中、アメリカの長期金利の上昇が拍車をかけた形だ。当面、金利の適正な水準を探る動きが続きそうだ」と話しています。

専門家「どこで金利が落ち着くか市場が探っている段階」

3日の債券市場では日本国債の長期金利が一時、0.655%まで上昇し、都内の証券会社のディーリングルームでは、担当者が投資家からの問い合わせなどの対応に追われました。

金利の上昇について「みずほ証券」の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは、日銀が先週開いた金融政策を決める会合で金利操作のより柔軟な運用を決めたことを踏まえ「金利の上限が1%まで引き上げられたということで、0.5%を上回ってきたという動き自体は自然な動きだと思う」と述べました。

そのうえで「現在の状況は、どこで金利が落ち着いていくのかを市場が探っている段階ではないか」と述べました。

一方、大手格付け会社がアメリカの国債の格付けを引き下げた影響については「引き下げはアメリカ国債の信用力にネガティブに働く一方、格下げされたことでアメリカの財政規律が改善していくことになればポジティブにもなり、総合的に見ると金利の上昇あるいは低下の方向に大きく影響が出ることはないのではないか」と述べました。