パラ競泳世界選手権 木村敬一 窪田幸太が銀メダル

イギリスで開かれているパラ競泳の世界選手権は、男子100メートルバタフライの視覚障害のクラスで木村敬一選手が銀メダル、富田宇宙選手が銅メダルを獲得しました。

また、男子100メートル背泳ぎの運動機能障害のクラスで、23歳の窪田幸太選手が銀メダルを獲得し、来年のパリパラリンピックの出場枠を獲得しました。

《大会2日目の結果は》

イギリスのマンチェスターで行われているパラ競泳の世界選手権は大会2日目の1日、男子100メートルバタフライ、視覚障害のクラスの決勝などが行われました。

決勝は、この種目の東京パラリンピック、金メダリストの木村選手が力強い泳ぎを見せましたが、世界記録をマークしたウクライナのダニーロ・チュファロウ選手に1秒81及ばず、1分2秒47のタイムで銀メダルでした。

木村選手は今大会2つ目の銀メダル、富田選手は今大会初めてのメダルとなる銅メダルを獲得しました。

また、100メートル背泳ぎ、運動機能障害のクラスの決勝は、窪田幸太選手が前半をトップで折り返したもののゴール手前でスペインのインゴ・ジョピスサンス選手に抜かれ、1分6秒40で銀メダルでした。

窪田選手は世界選手権初出場で銀メダルを獲得し、日本は来年のパリパラリンピックの出場枠を獲得しました。同じ種目に出場した荻原虎太郎選手は5位でした。

このほか、男子100メートル自由形、運動機能障害のクラスの決勝は、この種目の東京パラリンピック金メダリストの鈴木孝幸選手が出場し、1分22秒91のタイムで銅メダルでした。

鈴木選手は今大会2つ目のメダル獲得です。

木村敬一「また1つ高い壁ができた」

木村敬一 選手

木村敬一選手は東京パラリンピックで金メダルを獲得した、得意の100メートルバタフライで銀メダルとなり「もうちょっと記録を上げたかった。うまいこと泳げていたと思うが前半の速度が出ている分、後半は耐えきれなかった。なかなか難しい」と振り返りました。

その上でウクライナの選手が世界記録をマークして、自身が敗れたことについて「ずっと勝ってきた種目だったので、悔しいところが大きいが、また1つ高い壁ができたと思っていて、彼に追いつけるように頑張りたい」と話していました。

窪田幸太「悔しい部分がある」

窪田幸太 選手

初めての世界選手権で銀メダルを獲得した窪田幸太選手は「前半の入りはすごくよくて隣の選手も見えていたので最後はギアを上げたが差されてしまった。自己ベストを出せていれば金メダルを取れたので悔しい部分がある」と振り返りました。

来年のパリパラリンピックに向けては「今回は自己ベストを目指していたが出せなかったので、パリに向けてしっかりとやっていきたい」と話していました。

富田宇宙「メダル獲得できたことは評価したい」

富田宇宙選手は今大会2種目目の出場で初めてのメダル獲得となったことについて「自分の中では滑らかにいい泳ぎができていてすごく楽に泳げていたので、最後もう一段ギアを上げてゴールに向かおうと思っていたが、急に止まってしまった。タイムはすごく悔しいが、今大会初のメダルを獲得できたことは評価したい」と振り返りました。

その上で、出場予定の200メートル個人メドレーと400メートル自由形に向けて「残りの種目でも大きく改善してきた部分があるし、そのためにトレーニングしてきたので、練習の成果を発揮していい結果を皆さんにお見せできるよう、この悔しさをバネにして臨みたい」と意気込んでいました。

鈴木孝幸「充実感があるレースになった」

鈴木孝幸選手は、31日の男子50メートル平泳ぎに続いて100メートル自由形でも銅メダルを獲得し「目標タイムには到達したのできのうよりは少し充実感があるレースになった。ラストでバテてしまったが、1位の選手と最初の50メートルで差があまり開かなかったので、いい泳ぎができたかなと思う」と振り返りました。

その上で「出場種目全部でメダル獲得を目指しているので、今のところそこがクリアできているのはよかったが、メダルの色が1番低いので、そこが残念だ。最後の種目まで少し日にちが空くので休憩してしっかり体力を戻してメダルを取って終えたい」と意気込んでいました。

“世界記録で金” ダニーロ・チュファロウ(ウクライナ) 

ダニーロ・チュファロウ選手(ウクライナ)

男子100メートルバタフライ、視覚障害のクラスの決勝で世界記録を更新し、木村敬一選手を破って金メダルを獲得したウクライナのダニーロ・チュファロウ選手は「とても感激している。このメダルは自分にとって、そして国にとっても本当に重要なものだと思う。ご存知のように、私の国では今、戦争が起こっている。このメダルが国を支えてくれることを願っている」と喜びを話しました。

34歳のチュファロウ選手は2005年に視覚障害のクラスで代表デビューしましたが、徐々に症状が進み、東京パラリンピックの後、最も重いクラスに変わったということです。

このクラスは東京パラリンピックで木村敬一選手が金メダルを獲得していて、木村選手と今大会の決勝で争ったことについて「私の親友は、ずっと敬一と一緒に泳いでいたので、彼のことはよく知っている。次はもっと強くなって、もっと速いタイムを出してほしい」と話していました。

そして金メダルを獲得し母国の国家を聞いたことについて「ウクライナの国歌を聞くと、生まれ故郷のマリウポリやロシアの激しい砲撃の中で3週間過ごしたことを思い出す。私の家は破壊された。今、私がここに立つことは、私の国のことをみんなに知ってもらうために非常に重要なことだ」と話していました。