オウム真理教 松本元死刑囚 刑執行前に「詐病の可能性」文書

オウム真理教元代表の麻原彰晃、本名 松本智津夫元死刑囚の死刑が執行される7日前、収容先の東京拘置所が松本元死刑囚の詐病の可能性に言及する文書を作成し、法務省に提出していたことが分かりました。執行直前の法務省内のやり取りの一端(いったん)がうかがえます。

これは、松本元死刑囚の遺族が「心神喪失の状態だったにもかかわらず、死刑を執行したのは違法だ」として、国に損害賠償を求めている裁判の記録から明らかになりました。

裁判で、国側は、死刑執行7日前の2018年6月29日に、東京拘置所が法務省に提出した文書を証拠として出していて、精神科医による松本元死刑囚の診察の状況が書かれていました。

執行の7か月前、医師が診察だと伝えると、松本元死刑囚は小声で「これはつまり戦争をしかけられているんだ」とつぶやき、診察で足の裏を触ろうとすると、強く拒絶したということです。

執行の1か月前には「薬くれと言うから、意味がない」などとつぶやき、医師が「多少痛いよ」と話して、痛みの検査をしようとすると、松本元死刑囚は手足を引っ込めようとしたということです。

文書では、こうした行為などから「詐病の可能性」に言及し、「正常な精神状態にあるからこそ、内心を悟られまいと精神科診察を妨害する行為であると推認される」としていました。

執行直前の法務省内のやり取りの一端(いったん)がうかがえます。

一方、遺族側は裁判で、「詐病であるという結論ありきの記載であり、根拠が示されていない」などと反論しています。