【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

モスクワのビジネス街“無人機が墜落”

ロシアの首都モスクワでは、7月30日に続いて1日にもビジネス街「モスクワシティ」にある高層ビルに無人機が墜落して建物の一部が損壊しました。

相次ぐ無人機による攻撃について市民からは不安の声が聞かれ、「モスクワシティ」で働く女性は「みんな憂うつな状態だと思う。同僚たちも気分が沈んで、きょうは職場に来たがらず、リモートワークを申請する人が多かった」と話していました。

一方、

キーウと南部オデーサ州“ロシア軍による無人機攻撃”

ウクライナの首都キーウの当局は2日ロシア軍がイラン製の無人機を使って、大規模な攻撃を仕掛けてきたとSNSで発表しました。

無人機は、10機以上で、同時に複数の方向から攻撃してきたものの、空軍がすべてを探知し、破壊したとしています。

また、ウクライナ南部オデーサ州の知事は2日、夜間にロシア軍による無人機攻撃を受け、港湾施設などで火災が起きたと発表しました。

けが人などの情報はないということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は2日「ロシアのテロリストは再び港湾、穀物、世界の食料安全保障を攻撃した」と投稿し、ロシア軍は、穀物の積み出し港がある南部を繰り返し攻撃していると改めて非難しました。

ベラルーシ 反政権派の指導者 ロシアとの軍事関係に懸念

ベラルーシのルカシェンコ大統領に対抗し、民主化運動を率いてきた反政権派の指導者、スベトラーナ・チハノフスカヤ氏は、現在、隣国リトアニアを拠点に活動を続けていて7月末、オンラインでNHKのインタビューに応じました。

この中でチハノフスカヤ氏は「ベラルーシはロシアとともに共同の侵略者となっている」と述べウクライナへの軍事侵攻を進めるロシアを支援しているとしてルカシェンコ大統領を非難しました。

その上で、ベラルーシがロシアの戦術核兵器の配備や民間軍事会社ワグネルの戦闘員の受け入れなどの動きを進めているとして「ルカシェンコ大統領はロシアに依存し、国の独立に影響を及ぼしている」と述べ、ロシアと軍事的な結びつきがいっそう深まっている現状に懸念を示しました。

一方、チハノフスカヤ氏は「ベラルーシ国内ではいまも弾圧はおさまっていない。ウクライナに寄付したりウクライナ語で歌を歌ったりすれば刑を科される。政権に反対する人だけでなく、ウクライナを支持しようとする人も捕まってしまう」と述べ、ルカシェンコ政権が反戦の動きが広がらないよう弾圧を強めていると指摘しました。

その上で「ベラルーシとウクライナの運命は結びついている。共通の課題は、ロシアの野心と戦うことだ」と述べベラルーシの反政権派としてもNATO=北大西洋条約機構などに対してウクライナへの支援を強めるよう働きかけていることを明らかにしました。

モスクワで相次ぐ攻撃 市民は

ロシアでは首都モスクワのビジネス街の高層ビルに無人機が相次いで飛来するなど、攻撃が続いています。相次ぐ攻撃についてモスクワの人々からは、ウクライナの攻撃だと非難する声が聞かれた一方、原因を作ったのはロシアだとする声も聞かれました。

「モスクワシティ」で働く女性は「みんな憂うつな状態だと思う。同僚たちも気分が沈んで、きょうは職場に来たがらず、リモートワークを申請する人が多かった」と話していました。

また、50代の自営業の女性は「いやな出来事だ。身を守るにはほかの国に行くしかないが、親や子どもと住んでいて、なすすべもない」と諦めた様子で話していました。

20代の男子学生は、「これはテロだ。ロシアはウクライナの軍事インフラに絞って攻撃しているのに、彼らはロシアの市民にパニックを引き起こすつもりだ」とウクライナを非難しました。

一方、30代の女性は、「私たちは間違った道を進んでいると思う。モスクワが攻撃されるのはウクライナで子ども、民間人が何人亡くなったか考えれば理解できることだ。去年2月24日のことがなければ、無人機が来ることもなかった。低い生活水準など自国の問題があるのに他国の領土で何をしているのか全くわからない」と話し、軍事侵攻自体に意味がないと訴えていました。

また、30代のIT技術者の男性は「本当のことが全く報じられず、1か月先のことも分からない。恐怖というよりとにかく生きるしかない」と話していました。

ロシア “子ども70万人以上受け入れた”と主張

ロシアのプーチン政権で子どもの権利などを担当するリボワベロワ大統領全権代表は、「去年2月以降、ウクライナから子ども70万人以上を含む住民およそ480万人をロシアに受け入れた」として、ウクライナの占領地などから70万人以上の子どもを移送したとする報告書を、先月30日付けで公表しました。

報告書では、ロシアに来た子どもの中にはウクライナ東部の児童養護施設にいた子どもおよそ1500人が含まれ、去年4月から10月までで380人がロシア国内の里親のもとに預けられたと主張し、一時保護施設では子どもの権利が守られないなどと正当化しています。

一方、ロシアがウクライナから大勢の子どもを移送していることに対しては、子どもの連れ去りだとして国際社会から批判が高まっていて、ICC=国際刑事裁判所はことし3月、戦争犯罪の疑いで、リボワベロワ氏とプーチン大統領に対する逮捕状を出しています。

今回の報告書について、ウクライナ議会で人権問題を担当するルビネツ氏は「ICCにとって直接的な証拠となる。ロシアの行為はロシアの人質となっている子どもたちの権利に対する明白な侵害だ」とSNSで非難しました。

キーウ「祖国の母像」で旧ソビエト国章を撤去

ウクライナでは、ロシアと共有する旧ソビエトの歴史に由来するシンボルなどを取り外す動きが加速していて、首都キーウでは1日、中心部を流れるドニプロ川を見下ろす丘にある、高さ102メートルの巨大な「祖国の母像」が掲げる盾にあった旧ソビエトの国章を取り外す作業が行われました。

撤去作業の開始にあたって、カランジェーエフ文化情報相代行は、記者団に対し「ウクライナの独立から30年という歳月を経て、われわれは、ようやく前線だけでなく、文化的な面でも戦えると宣言できるようになった」と述べました。

撤去された旧ソビエトの国章は、展示施設で保管されるほか、今月24日のウクライナの独立記念日までに、新たにウクライナの国章が盾に取り付けられることになっています。