【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

モスクワでの無人機による攻撃 ロシア国防省も発表

ロシア国防省は1日、首都モスクワと近郊でウクライナ側が3機の無人機による攻撃を仕掛けこのうち1機が、高層ビルが建ち並ぶビジネス街「モスクワシティ」の一角に墜落したと発表しました。

無人機によって損壊したと伝えられた高層ビルでは、高さ数十メートルのところにある複数の窓が割れて抜け落ち、窓の周りが焼け焦げたように見えます。

周囲には警察や消防の車両が集まり、近くを通る人たちは壊れた所を心配そうに見上げたり、スマートフォンで写真を撮ったりしていました。

被害を受けたビルの隣の建物で働いているという女性は「正直なところ、とても怖い。国がしかるべき対策をとり、同じことが起きないようにしてほしい」と話していました。

ロシア軍艦艇 “ウクライナ軍の無人水上艇から攻撃も撃退”

ロシア国防省は1日、ウクライナ南部クリミアの軍港都市セバストポリから南西340キロの黒海海域で、ロシア軍の艦艇がウクライナ軍の3隻の無人水上艇から攻撃を仕掛けられ、これを撃退したと発表しました。

プーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記が31日「ウクライナの治安当局は、モスクワやクリミアなどで空や海から多くの無人機で攻撃を仕掛けている」と述べるなど、無人機による攻撃に警戒を強めています。

ウクライナ 東部・南部の攻撃で市民の犠牲広がる

ウクライナでは東部や南部でロシア軍による攻撃が相次ぎ、市民の犠牲が広がっています。

南部ヘルソン州の州都ヘルソンでは、地元の州知事がロシア軍の砲撃で4人が死亡したと明らかにしました。

また東部ハルキウ州でも1日、地元の州知事は、ロシア軍の無人機による攻撃で学校やスポーツ施設などが破壊され1人がけがをしたと発表しました。

ウクライナ アメリカと2国間協定の議論へ

ウクライナ大統領府は、先月30日、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構に加盟するまでの安全の保証をめぐる2国間の協定について、アメリカと来週協議を始めると発表しました。

G7=主要7か国は先月、将来的なさらなるロシアの侵略を抑止するためのウクライナへの長期的な安全保障上の支援について協力することなどを盛り込んだ共同宣言を発表していて、アメリカとの協議はこれを受けたものとなります。

ウクライナ大統領府は「NATO加盟が最も信頼できる保証だが、戦争が続いていて同盟に参加できない。一方で移行期間の信頼できる保証を確保しなければならない」とするイエルマク大統領府長官のコメントを紹介しています。

モスクワで再び無人機攻撃か

ロシアの首都モスクワのソビャーニン市長は1日、日本時間の1日午前10時前、モスクワに向かって複数の無人機が飛来し「このうち1機が前回と同じ『モスクワシティ』のタワーに墜落した。ビルの21階部分が損壊し150平方メートルほどの範囲でガラスが割れた。けが人は出ていない」とSNSに投稿しました。

複数の高層ビルが建ち並ぶ複合施設の「モスクワシティ」では先月30日にも飛来してきた無人機が墜落して建物の一部が損壊する被害が出たばかりです。

ウクライナ東部 集合住宅にミサイル攻撃 子ども含む6人死亡

ウクライナ東部のドニプロペトロウシク州のクリビーリフで7月31日、集合住宅などがロシア軍によるミサイル攻撃を受け、地元の知事は子どもを含む6人が死亡したほか、75人がけがをしたと発表しました。

クリビーリフはゼレンスキー大統領の出身地で、ゼレンスキー大統領はSNSで建物が崩れ落ちた映像を公開し、「占領軍は平和な都市や人々を恐怖に陥れ続けている」と強く非難しました。

ロシア 無人機攻撃に警戒強める

ロシアでは首都モスクワでも無人機による攻撃が相次いでいてゼレンスキー大統領が30日「戦争は徐々にロシアの領土に戻りつつある」と述べたほか、ウクライナ空軍のイグナト報道官も「モスクワなどでは常に何かが飛んでおり、戦争と無関係だった人々にも向かってきている」と述べました。

これに対しプーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記は31日、ロシア北西部で行った会議で「ウクライナの治安当局は、欧米の協力を得て、モスクワやクリミアなどで空や海から多くの無人機で攻撃を仕掛けている」と主張しました。

またショイグ国防相も国防省で行った会議で、「ウクライナ軍はこの1か月で2万800人以上の兵士やドイツ製の戦車レオパルト10両などを失った」という見方を示したうえで、「ウクライナは反転攻勢に失敗する中、民間のインフラ施設へのテロ攻撃に集中している」と非難しました。

ロシア側はウクライナがモスクワなどで無人機によるさらなる攻撃を仕掛けるのではないかと、警戒を強めています。

NPT準備委員会で各国がロシアを非難

オーストリアで開かれている世界の核軍縮を目指すNPT=核拡散防止条約の準備委員会では、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアが核兵器による威嚇を繰り返し、隣国ベラルーシへの核兵器の配備も進めているとされることに、各国からの非難が相次ぎました。

このうちアメリカの代表は「ロシアによる無責任な核をめぐる主張や原子力発電所での無謀な行動が続いている。NPTの取り決めの核心や核抑制のシステムを脅かしている」と訴えました。

また、ロシアが同盟関係にあるベラルーシに戦術核兵器の配備を進めていると主張していることについて、隣国のリトアニアの代表は「ベラルーシへのあらゆる種類の核兵器の配備はNPTのもとの国際公約違反だ。ロシアの行動は新たな挑発であり、世界の安全保障をさらに危うくしている」と非難しました。

これに対してベラルーシの代表は「ベラルーシとロシアは核兵器のない世界に向けて取り組む国際社会の努力を共有している」と述べるにとどまり、核兵器の配備には一切言及しませんでした。

戦闘で負傷の兵士 車いすバスケの大会へ

ロシアの軍事侵攻が続くウクライナでは、戦闘で負傷して足を失うなどした兵士たちがリハビリや社会参加の一環として、さまざまなスポーツに取り組んでいます。

こうした中、首都キーウの体育館で31日、負傷した兵士たちで作る車いすバスケットボールのウクライナ代表チームが、来月、ドイツのデュッセルドルフで開かれる戦争で負傷した兵士のための国際スポーツ大会への出場に向けて練習を行いました。

選手の1人でウクライナ東部のイジュームでロシア軍の攻撃によって右足のひざから下を失ったボフダン・ヤローツキーさんは(32)「今の目標は、ベストを尽くして仲間とともにいい結果を出すことです。大会は非常に厳しいでしょうし、本当の実力を示すにためには、学ぶべきことがたくさんあります」と話し、大会本番へ意欲を高めていました。