8月の値上げ食品1100品目余 去年同月の約4割 7か月ぶり減少

今月値上げされる食品の数は1100品目余りとなり、去年の同じ月との比較で7か月ぶりに減少しています。ことし10月にはいったんピークを超えると見られていますが、消費者の“値上げ疲れ”も指摘されています。

国内の食品メーカー195社を対象にした帝国データバンクの調査では、今月値上げされる食品は1102品目となり、去年8月のおよそ4割にとどまって7か月ぶりに減少に転じました。

ただ、今月は、牛乳やヨーグルトなど価格の変動に消費者が敏感になる食品が目立ち、消費者の間で生活防衛の志向やいわゆる“値上げ疲れ”が進むのではないかとみています。

来月は、今月に続いて調味料などが多く、およそ2000品目が予定されています。

10月は、酒類を中心にすでにおよそ4000品目で決まっていて、半年ぶりの値上げラッシュとなる可能性があるとしています。

原材料の輸入価格の高騰が落ち着いていることから、10月でいったんピークを超える見通しです。

ただ、企業にとっては、電気やガスなどのエネルギーコストや物流費の上昇など価格転嫁の要因が残されていることから、値上げは緩やかながらも断続的に続くと分析しています。

札幌市内のスーパー 牛乳など30品目値上げ

大手乳業メーカーなどが、1日の出荷分や納品分から牛乳や乳製品を値上げしたことを受けて、札幌市内のスーパーでも値上げする動きが見られました。

牛乳などの飲用向けや、ヨーグルト向けなどの生乳の取り引き価格について、ホクレンは、飼料価格が高値で推移していることなどを受けて、1日から1キログラム当たり10円引き上げました。

これに伴い、大手乳業メーカーなどは1日の出荷分や納品分から牛乳や乳製品を値上げしたことを受けて、札幌市手稲区の食品スーパーでも値上げする動きが見られました。

この食品スーパーでは、牛乳やヨーグルト合わせておよそ30種類の商品について、1日から店頭での販売価格を10円から40円程度値上げしたということです。

買い物に訪れた80代の女性は、「牛乳はよく飲むので、安いものをこまめに必要な分だけ買うようにしていますが、高くなると家計が厳しくなる」と話していました。

この食品スーパーでは、賞味期限までの期間が短い商品を安く仕入れるなど工夫をして店頭での販売価格をなるべく抑えたいとしていますが、それでも消費者の買い控えを懸念しています。

食品スーパーの「キテネ食品館」の中塚誠社長は「きょうから値上げなのではっきりとは分からないが、いつもよりは売れ行きがよくないように感じている。店頭価格が10円上がるだけでも買うことをためらう人もいるため値段を下げたいが、限度があるので厳しい」と話しています。

北海道 十勝地方の酪農家は理解求める

生乳の取り引き価格の引き上げに伴って、牛乳や乳製品が1日の出荷分や納品分から値上げされたことについて、日本有数の酪農地帯、北海道の十勝地方の酪農家からは、「今回の生乳価格引き上げでも酪農の危機を脱するには至らない。引き続き買い支えをお願いしたい」と理解を求める声が聞かれました。

十勝の士幌町でおよそ450頭の牛を飼育している川口太一さんの牧場では、牛の餌代や牛舎で使う電気代が2年前に比べてそれぞれ1.4倍ほどに上がったほか、コロナ禍による牛乳の消費の落ち込みもあり、経営を圧迫しているということです。

このため川口さんは、これまで使用していた輸入飼料の一部を価格が安い国産の小麦や飼料用米に置き換えたり、子牛を売ったりしていますが厳しい経営状況は変わっていないいうことです。

牛乳の需要の落ち込みに伴って生乳の生産を抑えてきたという川口さんは「生活がギリギリという状況で、生乳価格の引き上げによって手取りが増えるのはありがたいが、酪農の危機を脱するには至らない。物価の高騰で家計も厳しいが、消費者には引き続き買い支えをお願いしたい」と理解を求めました。

岡山県内の食品メーカーも牛乳など値上げ

今月も全国的に食品の値上げが続く中、岡山県内の食品メーカーも牛乳やヨーグルトなどを値上げします。

原材料価格の上昇が要因だということです。

岡山市に本社を置く「オハヨー乳業」は牛乳やヨーグルト、それにプリンなど24品目を1日の出荷分から値上げします。

このうち、希望小売価格は、
▽ヨーグルトが115円から120円と5円の値上げ、
▽焼きプリンは145円から170円と25円の値上げとなります。
▽牛乳は、販売店への納入価格を引き上げるため、店舗ごとに小売価格に反映されるということです。

飼料や卵などの原材料、それにエネルギーの価格高騰によりコストが上昇していることが要因で、会社は「コストの増加を吸収すべく、さまざまな対策を講じているが自助努力のみで解決を図るのが困難な状況となっている」としています。

また、グループ会社の「カバヤ食品」も、今月から10月にかけて
▽グミやキャンディなど4品目を10%から22%値上げし、
▽チョコレートの商品2品目では内容量を15グラム程度減らし、実質的に値上げします。

会社は「引き続きコスト削減に取り組むとともに、商品の安定供給に努めるので、ご理解いただきたい」としています。

栃木県の乳業メーカー 値上げで消費者の買い控えを懸念

1日から牛乳やヨーグルトなどの乳製品が再び値上げされ、牛乳の原料となる生乳の生産量が全国2位の栃木県の乳業メーカーは、消費者の買い控えがさらに進むことを懸念しています。

宇都宮市の老舗の乳業メーカー「針谷乳業」は、1日から1リットル入りの紙パックの牛乳を20円高い290円にするなど、生乳を使ったおよそ20の製品をすべて値上げしました。

酪農家で作る団体から乳業メーカーに出荷する生乳の価格が引き上げられたことが主な要因で、値上げは去年11月に続き、この1年間で2回目になります。

メーカーによりますと、栃木県内の酪農家の多くは餌代やエネルギー価格の高騰などの影響を受けて厳しい経営状況に陥っていて、廃業する酪農家も多く出ているということです。

乳業メーカーも、冷蔵庫で牛乳を冷やす必要があることなどから、夏場は特にエネルギー価格の高騰の影響を受けているということで、このメーカーも工場の照明をすべてLEDに変えるなど省エネに努めているものの、販売価格に転嫁せざるをえない状況になっているということです。

「針谷乳業」の針谷享社長は「自社努力ではカバーできないところまできているため、値上げをお願いしています。消費量が減ることが心配なので、なんとか消費拡大をお願いしたい」と話していました。