気象・災害

山形 熱中症疑いで中学生死亡 部活前に「暑さ指数」測定せず

今月28日、山形県米沢市で部活動を終えた女子中学生が熱中症とみられる症状で搬送されその後、死亡しましたが、当日、学校側は市のガイドラインに定められた部活動の実施などの目安となる「暑さ指数」の測定をしておらず、市の教育委員会は市内の小中学校にガイドラインを徹底するよう指示しました。

今月28日の午前11時すぎ、米沢市口田沢の歩道で、部活動を終えて帰宅途中だった女子中学生が熱中症とみられる症状で倒れているのが見つかり、病院に搬送されましたが、その後死亡しました。

市の教育委員会によりますと、女子生徒は午前8時半ごろから部活動に参加し、顧問の教員の指示でおよそ20分おきに水分の補給をしていて、部活動が予定より1時間早い午前10時前に終わった際、体調不良などの様子はなかったということです。

教育委員会によりますと、厳しい暑さの中で部活動を実施するときは、事前に気温や湿度などから熱中症予防の指標とする「暑さ指数」を学校にある専用の機器で測定し、中止や制限を決めることが市のガイドラインで定められていましたが、この日は測定をしていなかったということです。

部活動の顧問の教員は、「この日は部活動を早めに終えることを決めていたので測定しなかった」と説明しているということですが、教育委員会は「ガイドラインに従えば、測定したほうがよかった」としていて、市内の小中学校に対しガイドラインを徹底するよう指示しました。

ガイドラインの内容は

教育委員会は熱中症を予防する対策や、児童や生徒が熱中症になった場合の対応などを示したガイドラインをまとめています。

この中では、エアコンが設置されていない場所や体育館、それに屋外で活動する際、気温や湿度などから熱中症予防の指標となる「暑さ指数」を、専用の機器で測定することを求めています。

この機器は市内の小中学校すべてに備えられていて、「暑さ指数」によって部活動を中止したり、激しい運動などの活動を制限したりします。

「暑さ指数」は
▽気温
▽湿度
▽日射や路面からの反射など周辺の熱環境
▽風の要素
を取り入れた指標で、単位は気温と同じ『℃』で示されます。

この「暑さ指数」をもとに環境省は熱中症予防のための指針を定めていて、危険性に応じた4つの段階を設けています。

環境省の指針によりますと、危険性が最も高いのは指数が「31以上」で「運動は原則中止」。

▽指数が「28から31」は「厳重警戒」。激しい運動は中止し、10分から20分おきに休憩をとり、水分や塩分を補給するとしています。

▽指数が「25から28」は「警戒」。積極的に休憩をとり、適宜、水分や塩分を補給するほか、激しい運動では30分おきくらいに休憩をとるとしています。

▽指数が「21から25」は「注意」。熱中症の兆候に注意するとともに、積極的に水分や塩分を補給するとしています。

教育委員会は市内の小中学校に対し、測定した「暑さ指数」を環境省の指針に照らし合わせて、部活動などを行うかどうかといった対応を事前に決めるよう求めていました。

米沢市の女性「必要な対策を講じてもらいたい」

女子生徒が倒れていた国道の脇の歩道は、部活動が行われていた中学校からおよそ2.5キロ離れた緩やかな上り坂が続く場所で、街路樹など日光を遮るものはほとんどありません。

教育委員会によりますと、女子生徒は国道脇の歩道に止められた自転車の近くで倒れていたということです。

31日、現場には花束のほか、お茶や水などが供えられていて、市内に住む人などが訪れ、手を合わせる姿が見られました。

米沢市の40代の女性は「今月28日は朝から暑かったので、ニュースを知ったときはどうして部活動をしているのかと思った。こういう事故がないように対処してほしい」と話していました。

70代の女性は「私にも孫がいてとても残念です。市の教育委員会は、もう少し考えて必要な対策を講じてもらいたい」と話していました。

中学校では臨時の全校集会 全員で黙とう

亡くなった女子生徒が通っていた中学校では31日午前、教員や生徒たちが出席して臨時の全校集会が開かれました。

全校集会は非公開でしたが、教育委員会によりますと、はじめに校長が「今後、このようなことが起こらないよう教員で検討していく」と述べたあと、女子生徒が亡くなった経緯について説明したほか、全員で黙とうをささげて哀悼の意を表しました。

このあと、女子生徒のひつぎをのせた車が中学校に立ち寄り、生徒たちは校舎の外に出て見送ったということです。

女子生徒の両親が生徒たちに対して、「ありがとう」とか「みんなも頑張って生きてほしい」などと声をかけ、中には涙を流す生徒もいたということです。

中学校では今後も気温の高い日が続くと見込まれることから、当面の間、すべての部活動を中止するということです。

市長「しっかり対応していく必要がある」

米沢市の中川勝市長は31日の定例会見で女子生徒について、「文武両道に優れた生徒で、非常に残念で悲しい」と述べました。

そのうえで「教育委員会に任せきりにせず、市として部活動や通学のあり方、そして小中学生だけではなく、大人や高齢者の日常生活でもどうしたら熱中症対策ができるのか、しっかり対応していく必要がある」と述べ、市として教育委員会と連携しながら、注意喚起を含めた熱中症への対策を検討する考えを示しました。

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