原子力白書 “次世代型原子炉 課題など客観的な検証が重要”

ことしの「原子力白書」がまとまり、政府が開発や建設を進めるとしている次世代型の原子炉について脱炭素社会の実現に貢献する可能性を認めたうえで、技術的な課題や経済性などの客観的な検証が重要だと指摘しています。

政府は、脱炭素社会の実現に向け原子力を最大限活用する中で、安全性や経済性を向上させた複数の種類の次世代型の原子炉の開発・建設を進める方針です。

国の原子力委員会が7月27日に公表したことしの原子力白書では、このうち
▽出力を抑えた「小型軽水炉」について、気象条件によって発電量が変動する再生可能エネルギーにあわせた調整運転に適しているとしたほか
▽高い温度の熱を利用できる「高温ガス炉」では、二酸化炭素を排出せずに水素を製造する用途が注目されるなどとしています。

一方で白書では、これらが原子力が果たすべき役割かどうかは明確になっていないと指摘し、「ほかの技術との間で経済性などの客観的な比較評価が不可欠」だとしています。

そのうえで「研究開発の説明では成功した場合のメリットが強調される傾向があるが、課題を含めた客観的な検証を進めていくことが極めて重要」だとして、国民に対し、実用化の見通しなどを丁寧に説明していくよう政府や関係機関に促しています。