【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(30日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる30日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 海軍力を誇示「ことしだけで艦隊に30隻加わる」

ロシアでは30日、各地で海軍の記念式典が開かれ、このうち第2の都市サンクトペテルブルクでは、プーチン大統領が式典に出席しました。

式典でプーチン大統領は「ロシアは一貫して海軍力を増強している。ことしだけでも30隻が艦隊に加わる」と演説し、ウクライナへの軍事侵攻を続ける中で軍事力を誇示しました。

専門家「ワグネルの動き 特に東欧の国々揺さぶりか」

防衛省防衛研究所の兵頭慎治研究幹事は、ウクライナ軍が進める反転攻勢について「ウクライナ軍はザポリージャ州の西部でロシア軍の防衛線に迫りつつあり、一部では突破を試みようとしていると指摘されている」と述べました。

その上で「ザポリージャ州で第1防衛線をおおきく突破することができるか、主力部隊の投入でさらに進軍することができるか注目されている」と指摘しました。

一方、ベラルーシが受け入れているロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員が国境地帯に向けて移動しているという情報があるとポーランドが警戒感を示したことについては「ベラルーシ西部に軍用キャンプがあり、そこでワグネルは軍事訓練を行うとみられている。ワグネルがポーランドなどにも影響力を拡大するのではないかという動きをみせながら、NATO加盟国、特に東ヨーロッパの国々を心理的に揺さぶろうとするねらいもあるのではないか」と分析しました。

また、ワグネルの戦闘員を受け入れているベラルーシ側の思惑に関連して過去にベラルーシが中東などから来たとみられる大勢の移民などをポーランドに送り込もうとしたと指摘しました。

そのうえで「ベラルーシの思惑をワグネルが実現しているところがある。ルカシェンコ大統領の意をくんだ形の動きを見せることで、ベラルーシでの存在感を誇示しルカシェンコ大統領から一定の支援などを引き出したい思惑もあるのではないか」と述べました。

ロシア国防省「モスクワに無人機攻撃」

ロシア国防省は30日、日本時間の30日午前、「モスクワ市内の施設に対し無人機攻撃が仕掛けられた」とSNSで発表しました。ウクライナによる攻撃だと主張した上で、2機の無人機が市内にある複合施設の「モスクワシティ」に墜落したとしています。

ロイター通信が配信した映像では高層ビルの一角で建物の一部が損壊している様子がうつっていて近くにいたという女性は「爆発音がしたあと煙が立ちこめて何も見えなくなった。その上では火も見えた」と話していました。

モスクワのソビャーニン市長がけが人はいないとSNSに投稿する一方、ロシア国営のタス通信は消防当局の話として1人がけがをしたと伝えています。

また、ロシア国防省は、別の無人機1機がモスクワ近郊に飛来し上空で破壊したとしています。

モスクワでは7月24日、2機の無人機が飛来し、南部にあるオフィスビルに衝突して一部が損壊するなどの被害が出たほか、ことし5月にも複数の無人機が飛来し、市内の集合住宅で被害が出るなどしていて、ロシア側は警戒を強めています。

ポーランド首相 “ワグネル国境地帯に移動の情報 ” 警戒感示す

ベラルーシの西側に位置するポーランドのモラウィエツキ首相は29日、ワグネルの戦闘員100人以上が国境地帯の「スバウキ回廊」に向けて移動しているという情報があると明らかにしました。

「スバウキ回廊」は、いずれもNATO=北大西洋条約機構の加盟国であるポーランドとリトアニアとの国境地帯で、ロシアの飛び地カリーニングラードとベラルーシに挟まれていることからNATOの安全保障上も、重要な地域とされています。

モラウィエツキ首相は「状況はますます危険になっている。戦闘員は不法移民になりすますなどしてポーランドに入るおそれがありハイブリッド攻撃の一歩だ」と警戒感を示しました。

7月、ベラルーシのルカシェンコ大統領はワグネルの戦闘員について「西側のポーランドへ行きたがっている」と述べ、NATO側をけん制していたほか、ポーランドも東部に兵士1000人を移動させるなど、地域の緊張が高まっています。

“米元高官がロシア側と協議”ロシアメディア 米政府 関与否定

ロシアの英字紙「モスクワ・タイムズ」は27日、アメリカ政府で安全保障を担当していた元高官らが、ロシア大統領府の複数の高官と少なくとも月に2回、オンライン形式などで協議を行い、3か月に1度はモスクワを訪問していると伝えました。

この元高官は、「ヨーロッパの安全保障の面でロシアをより創造的な役割を果たす国に戻しながら、ウクライナの独立を保証する方法を探りたい」と述べ、協議の目的は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化するなか、事態打開の糸口を探ることだとしています。

また、元高官は「ロシアは、併合しているクリミアを失ってしまうと考えれば、ほぼ間違いなく戦術核兵器の使用に頼るだろう」としています。

こうした協議については今月、アメリカのNBCテレビも伝えていて、
▽アメリカ側は、元国防次官補など、安全保障を担当していた元高官らが、
▽ロシア側は、シンクタンクの関係者など、ロシア政府に近い人物らが
参加したとしています。

「モスクワ・タイムズ」の報道を受けてホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議のワトソン報道官は27日「裏の対話ルートを設けることは求めていない」として政府の関与を否定しています。

英軍 ウクライナ兵に兵器の使い方指導 訓練の様子公開

イギリス軍は、ウクライナへの支援の一環としてウクライナ兵らに兵器の使い方を指導していて、27日、イギリス南部で行われた訓練の様子がメディアに公開されました。

このなかで、ウクライナ兵は、イギリス軍の自走式りゅう弾砲「AS90」5門を使い、弾薬を実際に装填(そうてん)して発射する手順を確認するなど扱い方を学んでいました。

兵士らは、7週間にわたって指導を受けたということで、イギリス軍は、ウクライナに戻った兵士らが、習得した技術を仲間とも共有してもらいウクライナ軍の戦闘力の向上を目指すとしています。

ウクライナ軍にとっては、ロシア軍が築いた防衛線の突破を図るなど、反転攻勢の作戦を進める上で戦車部隊と連携する砲兵戦力の強化も課題で、イギリスから30門以上供与されている「AS90」などの自走砲をどう効果的に活用するかもカギになっているとみられます。

ウクライナの反転攻勢“南部で勢いを増すのに苦労” 米報道

先月始まったウクライナの反転攻勢についてアメリカのCNNテレビは、29日「ロシアの厚い防衛を突破する努力をしているものの南部での反撃の勢いを増すのに苦労している」と伝えています。

その理由として、戦力以外にも兵士の訓練不足や部隊の連携の面で課題が残っているとしています。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」の研究員はCNNテレビに対して「大隊や旅団レベルが攻撃を行った形跡はない」と述べるなど現時点では、反撃の規模は限定的である可能性を指摘しています。

ウクライナ クリスマスの祝日 12月25日に変更

ウクライナでは、これまでロシア正教などと同じく、クリスマスの祝日を1月7日としてきましたが、ロシアに対する強い反発から変更を求める声が相次いでいました。

ゼレンスキー大統領は、28日、祝日に関する法案に署名し、クリスマスの祝日がローマ・カトリック教会などと同じ12月25日に変更されることになりました。

ロシアによる南部クリミアの一方的な併合や去年2月から続く軍事侵攻を受けて、ウクライナ国民の間には、クリスマスを12月25日に祝う動きがすでに出ていましたが、今回、正式に決まったことになります。

ウクライナでは、軍事侵攻などを受けて、ロシアや旧ソビエトにまつわる通りの名前を変更したり、記念碑を撤去したりする政策もとられていて、宗教や文化の面でもロシアと一線を画す動きが顕著になっています。

ユネスコ調査団 大規模攻撃による文化財被害状況確認へ

南部オデーサ市によりますと、ロシア軍の大規模な攻撃による文化財などの被害状況を確認するためユネスコ=国連教育科学文化機関の調査団が29日、現地入りし、世界遺産に登録された「歴史地区」にある大聖堂などの状況を調べるとしています。