日銀 長期金利の上昇 事実上1%まで容認 円安の流れに注目

日銀は28日、金利操作の運用を見直し、長期金利の上昇をこれまでの0.5%程度から事実上、1%まで容認する方針を示しました。これによって為替市場の変動を抑えるねらいもあるとしていますが、ことし急速に進んだ円安の流れが変わるかどうか注目されます。

日銀は長期金利の変動幅の上限をこれまで0.5%程度としてきましたが、28日の会合で、金利操作をより柔軟に運用することを決め、市場の動向しだいで長期金利の上昇を事実上、1%まで容認する方針を示しました。

日銀は長期金利の上限を厳格に抑えると金融市場の変動に影響が出るおそれがあると指摘し、今回決めた運用の柔軟化によって、こうした動きを和らげることが期待できるとしています。

これについて植田総裁は「為替をターゲットとしていないことに変わりはないが、金融市場の変動をなるべく抑えるという中に為替市場も含めて考えている」と述べ、金融緩和策を柔軟に運用する目的の1つに為替市場の変動を抑えることがあるという考えを示しました。

外国為替市場ではことし1月に1ドル=127円台で取り引きされていましたが、その後、急速に円安ドル高が進み、円相場は6月下旬に1ドル=145円台まで値下がりしました。

その後、やや円高方向に戻しましたが、欧米の中央銀行が利上げを相次いで実施する一方で、日銀が金融緩和を続ければ再び円安が加速し、物価が一段と上昇することも懸念されていました。

今回の日銀の決定で円安の流れが変わるかどうかも注目されます。