甲子園球場「銀傘」 アルプス席まで拡張へ 観客の暑さ対策に

高校野球の春夏の全国大会やプロ野球・阪神の試合が行われる甲子園球場で内野席を覆う「銀傘」と呼ばれる屋根について、運営する阪神電鉄は、観客の暑さ対策などにつながるとしてアルプス席まで広げる構想を発表しました。再来年の着工を目指したいとしています。

甲子園球場では、高校野球の春夏の全国大会や阪神の主催試合が開催されていますが、特に日中に試合を行う高校野球では選手だけでなく、応援団の生徒や観客などの暑さ対策が課題となっています。

こうした中、甲子園球場を運営する阪神電鉄は28日、会見を開き、内野席を覆っている球場のシンボルの屋根「銀傘」を応援団などが入場するアルプス席まで広げる構想を発表しました。

建設時期については、再来年の大阪・関西万博後の着工を目指したいとしています。

甲子園球場は大正時代の1924年8月1日に「甲子園大運動場」として誕生し、開場当初、内野席を覆っていた屋根は、その後、アルプス席まで増設されました。

戦時中の1943年には金属の供出のためにすべて取り外されましたが、戦後1951年に復活し、現在は内野席を覆う形で設置されています。

阪神電鉄の谷本修取締役は「アルプス席で熱戦を繰り広げる学校応援団の暑さや急な雷雨への対策として観戦環境を改善し、高校野球の聖地として甲子園球場が進化を続けることで高校野球文化の継承を図る。早期に実現すべく使命感を持って進めていく」と話していました。

高野連会長 “大変有意義な計画”

甲子園球場の「銀傘」と呼ばれる屋根をアルプス席まで広げる構想が発表されたことについて、日本高校野球連盟の寶馨会長は「学校応援団や多くの高校野球ファンが観戦するアルプス席への銀傘拡張は暑さ対策や雨天時の対策について、大変有意義な計画だと感じている。今後も連携を取りながら高校野球のさらなる発展に努めていく」とコメントしています。