“万博の工事 時間外労働上限規制の適用外可能か議論” 経産相

大阪・関西万博で海外のパビリオンの建設に向けた準備が遅れていることをめぐって、西村経済産業大臣は、来年4月から建設業界で始まる時間外労働の上限規制の適用外にできるかどうかを政府内で議論していることを明らかにしました。

再来年に開催される大阪・関西万博の海外のパビリオンをめぐっては、参加国と建設会社の間で契約の締結が進まずに建設に向けた準備が遅れています。

さらに建設業界では、来年4月から時間外労働の上限規制が始まる予定で、工事への影響も懸念されています。

これについて、西村経済産業大臣は28日の閣議のあとの記者会見で「上限規制について博覧会協会から直接要請を受けてはいないが、海外パビリオンなどの準備を進めていくにあたって、さまざまな課題を洗い出す過程で話にあがったものの1つと承知している」と述べ、万博の工事を時間外労働の上限規制の適用外にできるかどうか、政府内で議論していることを明らかにしました。

そのうえで「国内の建設市場の需給が非常にひっ迫しているなど、さまざまな課題に対し総合的な検討を行っている」と述べ、関係省庁と連携し、政府としての対応を決めていく考えを示しました。

加藤厚労相 “業務の繁忙では認められないと認識”

加藤厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「東京オリンピックの建設工事で、労災で亡くなった方もおり、厚生労働省としては時間外労働の上限規制を円滑に施行していくことが重要だ」と述べました。

そのうえで、規制の対象外となる範囲について「一般的には、緊急や災害など客観的に避けることができない場合に限られていて、単なる業務の繁忙については認められないと認識している」と述べました。

岡田万博相 “課題の1つの段階”

岡田万博担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「博覧会協会や建設業界、参加国などの関係者と意見交換を行っているが、直接の要望を受けたことはない。事務方が博覧会協会と将来的な課題を洗い出す過程で話にあがっているとは聞いているが、課題の1つとしてあがっている段階で、私から具体的にお話しすべき状況にはない」と述べました。

大阪府 吉村知事「ルールの中で何ができるのか考えるべき」

大阪府の吉村知事は、記者団に対し「働き方改革として重要な視点のもとでつくられた法律なので、現時点では、『そこのルールの中で何ができるのか』ということを考えるべきだ」と述べました。

そのうえで、建設に向けた準備の遅れについて「建設需要が非常に大きく、人件費も高騰している中で、50か国余りのすべてが、みずから建設するという前提に立つと、いろんなゆがみが生じてくるので、そうではない選択肢もよく考えたほうがいいというのが私の考え方だ」と述べました。