戦没者の遺骨収集「3300か所で現地調査」新基本計画 閣議決定

戦没者の遺骨収集事業について、政府は2029年度までの集中実施期間に、国内外の埋葬地およそ3300か所で現地調査を実施することなどを明記した新たな基本計画を閣議決定しました。

戦没者の遺骨収集をめぐっては、国の責務と位置づけたうえで収集事業の集中実施期間を2029年度までと5年間延長する改正戦没者遺骨収集推進法が先月成立していて、これを受けて、政府は新たに取り組む施策をまとめた基本計画を策定し、28日、閣議決定しました。

この中では、集中実施期間にこれまで調査ができていなかった国内外の埋葬地およそ3300か所で現地調査を実施し、一柱でも多くの遺骨を収集すると明記しています。

また、海に沈んだ遺骨については、観光ダイバーなどの目に触れて遺骨の尊厳が損なわれているような場合で、技術面や安全面で可能であると判断できた場合に収集するとしています。

厚生労働省によりますと、太平洋戦争で海外で戦没した人はおよそ240万人で、いまも収集されていない遺骨は112万柱に上り、このうちのおよそ30万柱が海の中にあるといいます。

加藤厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で「戦没者のご遺族がご高齢となっている現実を重く受け止め、全力をあげて遺骨収集事業に取り組んでいく」と述べました。