フェンシング 世界選手権 女子サーブル個人 江村美咲が2連覇

イタリアで行われているフェンシングの世界選手権の女子サーブル個人で、世界ランキング1位の江村美咲選手が決勝でギリシャの選手を破り、大会2連覇を果たしました。日本選手が世界選手権を2連覇するのは史上初めての快挙です。

イタリアのミラノで行われているフェンシングの世界選手権は27日、女子サーブルと男子フルーレの個人戦などが行われました。

このうち女子サーブル個人では去年のこの種目で、日本選手として史上2人目の世界選手権優勝を果たした江村選手が準決勝に勝ち進み、世界3位のギリシャの選手に先にマッチポイントを握られたものの、そこから逆転して接戦を制し決勝に進みました。

決勝では世界4位のギリシャの選手と対戦し序盤から主導権を握ると、中盤からは出足鋭い「突き」や「斬り」で5連続ポイントを奪い8対4と点差を広げました。

その後も速攻や相手の攻めの裏をかくカウンターが光り、そのままリードを保って15対11で勝ち、大会2連覇を果たしました。

日本選手が世界選手権を2連覇するのは史上初めての快挙です。

この大会は来年のパリオリンピックの予選を兼ねていて、江村選手はオリンピック出場に大きく前進しました。

一方、男子フルーレ個人では世界ランク14位の松山恭助選手が準決勝に進み、アメリカの選手に10対15で敗れて、銅メダルとなりました。この種目で日本選手のメダル獲得は6年ぶりです。

江村「日本初の歴史 新たに作ることができた」

日本選手初の世界選手権2連覇を果たした江村美咲選手は日本フェンシング協会を通じてコメントを寄せました。

江村選手は「自分にあえてプレッシャーをかけて挑んだ試合ではありましたが、試合前1か月くらいは不調が続いてなかなか自分の納得できるプレーができませんでした。試合当日は『自分を信じて最後まで戦うこと』を課題に掲げていました。相手との戦い以上に自分と戦っている感覚の方が強かったです」と振り返りました。

そのうえで「今は2連覇することができて、日本初の歴史を新たに作ることができたこと、そして自分の弱さと戦って最後までやりきったことがとても嬉しいです。昨年優勝してから1年間タイトルが取れてなくて自分の弱さと向き合ったり、試合前の不調な状態から挑んだ今大会は昨年とはまた違う価値があると感じています」としています。

「前例ない 新しい道を」江村選手とは

女子サーブルの江村美咲選手は大分県出身の24歳。

身長1メートル70センチと大柄な外国人選手にも見劣りしない体格で、出足鋭い速攻に加えて相手の裏を突く高い技術も備え、攻守ともにバランスのとれたフェンシングが持ち味です。

父親の宏二さんはソウルオリンピックに出場した元選手で、江村選手も10代のころから国際大会で経験を積み、全日本選手権ではこれまで3回優勝しています。

大学を卒業したおととしからはフェンシング界で初のプロ選手として活動し、「前例のない新しい道を切り開きたい。自分の可能性を信じて頑張っていきたい」と抱負を語っていました。

初出場の東京オリンピックでは個人戦は3回戦敗退でしたが、大会後に日本代表のコーチに就任したフランス人のジェローム・グースコーチの指導のもと、もともとあった身体能力の高さに戦術面の駆け引きや技術が加わり、急速に力を伸ばしました。

そして去年はワールドカップで優勝するなど国際大会でも実績をあげ、7月の世界選手権ではこの種目で日本選手初となる優勝を果たし、世界ランキング1位にも立ちました。

ことし4月に、来年のパリオリンピックの出場権を争う選考レースが始まってからは思うような結果を残せずにいましたが、今回の世界選手権に向けて照準を合わせていました。