五輪談合事件 電通グループと元幹部の初公判 本大会の認否留保

東京オリンピック・パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件で、不正な受注調整を行っていたとして、独占禁止法違反の罪に問われている法人としての電通グループと、電通の元幹部の初公判が開かれ、いずれもテスト大会の計画立案業務については起訴された内容を認めた一方、本大会の業務などについては認否を留保しました。

広告大手の電通グループと、元幹部の逸見晃治被告(55)は、大会組織委員会の元次長、森泰夫被告(56)や、ほかの企業などとともに組織委員会が発注した各競技のテスト大会の計画立案業務の入札や、本大会の運営業務など、総額437億円の事業を対象に不正な受注調整を行っていたとして、独占禁止法違反の罪に問われています。

東京地方裁判所で開かれた初公判で電通グループと逸見被告は「テスト大会の計画立案業務で法令違反があったことは間違いない」と述べて認めた一方、本大会の運営業務などについては認否を留保しました。

検察は冒頭陳述で「森元次長に協力してテストイベントの関連業務を取りしきることができれば、電通が実績をもつ競技などで優先的に業務を受注して利益を確保できるとともに、大会後のスポーツビジネス拡大に利用できると考えた」と主張しました。

東京大会をめぐる談合事件では、広告業界を代表する企業など、合わせて6社と逸見被告ら7人が起訴され、先に裁判が始まった森元次長は起訴された内容を認めています。

冒頭陳述 検察の主張は

冒頭陳述で検察は、電通がテストイベントの関連業務に携わったいきさつについて、「組織委員会の森元次長は準備が進んでいないことなどから、テストイベント関連業務の遂行に危機感を覚え、平成28年10月ごろ、スポーツイベントの運営経験が豊富な電通に協力を依頼した。これに対し、電通では、テストイベント関連業務を取りしきることができれば、電通が実績を有する競技や今後、発展が見込まれる競技について本大会でも優先的に受注して利益を確保できると考えた。また、競技団体との関係を強固なものとして大会終了後のスポーツビジネス拡大にも利用できると考え、森元次長に協力すると回答した」と主張しました。

また、受注調整が行われた背景については、「森元次長は、電通単体にテストイベント関連業務を委託することは財務の面からしても困難で、『オールジャパン体制』でスポーツイベントの運営実績・受注能力のある大手広告代理店などにバランスよく受注させたいと考え、電通の逸見元幹部らに伝えた。電通もマンパワーなどの関係から単体での独占受注が難しいという事情があり、調整して割りふることの検討を始めた。元幹部と次長らは、受注予定事業者を一覧表形式にまとめたリストを作成した。関係事業者の間では順次、調整が行われ、各社とも割りふり先とされた業務の入札に参加する一方で、割りふられなかった会場については入札に参加しないという合意が形成された」などとしています。

その上で、「テストイベントの計画立案業務の入札が実施された26件のうち、21件で受注予定事業者のみが入札に参加して、20件で予定事業者が落札した。その事業者がほぼそのまま、同一の競技・会場の本大会運営業務などの委託先事業者となった」と主張しました。