首相 各地で相次いだ大雨災害 全国一律に「激甚災害」指定へ

梅雨の時期に各地で相次いだ大雨災害への対応について、岸田総理大臣は、九州北部や秋田県を含め、全国の被害を一律に「激甚災害」に指定し、復旧にかかる費用を支援していく意向を明らかにしました。

岸田総理大臣は、27日、今月上旬の記録的な大雨で被害が出た福岡県久留米市を訪れ、土石流の発生現場などの視察を行いました。

岸田総理大臣は、このあと記者団の取材に対し「改めて平穏な生活を一瞬にして奪い去ってしまう災害の恐ろしさを実感するとともに、被災された方々の生活再建や被災地の復旧支援に政府としてしっかり取り組んでいく決意を新たにした」と述べました。

そのうえで、梅雨の時期に各地で相次いだ大雨災害への対応について、大きな被害の出た九州北部や秋田県を含め、全国の被害を一律に「激甚災害」に指定し、農地や公共土木施設などの復旧にかかる費用を、国として支援していく意向を明らかにしました。

また岸田総理大臣は、防災や減災対策に万全を期すことも重要だとして、28日閣議決定する予定の新たな国土強じん化の基本計画をもとに、取り組みを加速していく考えを示しました。

松野官房長官「内容など確定次第 速やかに手続き進めたい」

松野官房長官は午後の記者会見で「被害状況の調査は継続中で、適用措置の内容などが確定次第、速やかに政令の閣議決定に向けて手続きを進めたい。引き続き、被災自治体と緊密に連携し、政府一体となって迅速な復旧・復興を図るとともに被災者の生活再建などに全力で取り組んでいく」と述べました。

政府「激甚災害」指定の見込み 対象広がる可能性も

内閣府によりますと、6月上旬から今月中旬にかけて梅雨前線の活動が活発になり、九州や中国地方、東海、北陸などで記録的な大雨となって土砂災害や川の氾濫が相次いだほか、7月15日以降は秋田県でも住宅が広範囲に浸水する被害が出ました。

一連の梅雨前線などによる記録的な大雨の影響で、死者・行方不明者が相次いだほか、農業や港湾の施設、道路、それに学校など教育施設などにも被害が出ました。

これらについて、政府は、公共土木施設と、農業施設や農地、教育施設の復旧にかかる費用の見込み額が一定の基準を上回ったとして、「激甚災害」に指定する見込みになったと発表しました。

復旧にかかる費用のうち、国からの補助率がかさ上げされることになります。

対象となるのは、一連の大雨で被害を受けた全国の各地域で、期間は、農地などを対象に、激甚災害に指定される見込みが発表されている太平洋側を中心とした6月上旬の記録的な大雨から7月中旬の秋田県の大雨までとなる見通しです。

一方、激甚災害に指定する時期について、内閣府は「被害の調査が終了しておらず、めどはたっていない」と説明しているほか、今後、対象となる期間や対象が広がる可能性もあるとしています。