新型コロナの検体情報 研究者や企業対象に8月公開へ 厚労省

新しい感染症の検査薬やワクチンなどの開発を推進するため、厚生労働省はこれまでに収集した新型コロナなどの検体の情報を8月から、研究者や企業を対象に公開することになりました。

予防法や治療法がなく世界的大流行が起きるおそれがある新しい感染症の研究のため、厚生労働省はおととし、国立国際医療研究センターなどに委託して、新型コロナなどの患者から提供された血液などのサンプルやウイルスの遺伝子情報などを収集するデータバンクを立ち上げました。

データバンクにはこれまで、新型コロナや「エムポックス」=これまでの「サル痘」などの感染症について、全国の医療機関などから8万6000件余りの症例の情報や、およそ6000人分の検体が集まりましたが、症例の情報は研究者の論文や厚生労働省の専門家会合などで活用されてきた一方、検体の情報は一般の研究者や企業が利用できる仕組みになっておらず、治療薬やワクチンなどの開発につながった実績はありませんでした。

こうしたことから、厚生労働省は26日、専門家部会で検体の情報についても研究者や企業を対象に8月から情報を公開する方針を示しました。

患者の検体を集める際には、薬の開発に使うなどの目的を事前に説明したうえで収集し、研究者が利用できる血液データのサンプルなどデータや試料を一覧にして周知することで、利用機会を増やしていくということです。

厚生労働省は「データバンクの情報を病気の実態解明や検査薬やワクチンなどの開発に生かしてほしい」としています。