ビッグモーター“損保出向者 不正認識の人いた”元工場長 証言

ビッグモーターは、損害保険会社から複数の出向の社員を受け入れていましたが、25日の会見では「損保会社からの出向者の不正への関与は一切無かった」と説明しています。一方「損害保険ジャパン」からの出向者と現場で接点があったというビッグモーターの元工場長は、自身も社内で行われていた不正を知っていたとした上で「出向者の中にも不正を認識している人がいた」と証言しています。

元工場長によりますと、接点があった出向者は修理の見積もりの支援や、顧客からのクレーム対応などの業務にあたっていました。

ビッグモーター社内の不正を認識した上で「表に出たら本当に大変なことになる。いつか絶対、痛い目に遭うよ。やりすぎてはいけない」などと話していたということです。

その出向者は「不正をただしたい」とも語っていたということで、男性は「本当に最後まで魂は売らず、“何とかしたい”と、周りの社員には話していたが、結局ビッグモーターとの力関係で、会社に対してはどうしても言えない構図ができてしまっていたと思う」などと話しました。

「損害保険ジャパン」元社員 “おかしいと気付くはず”

「損害保険ジャパン」の自動車保険などを取り扱う部署で働いていた元社員の男性は、損保側とビッグモーターの関係について「損保側が、事故を起こした契約者の車の修理工場としてビッグモーターを紹介し、その紹介数に応じて、ビッグモーターから新たな保険契約の枠をもらう仕組みになっていた。“テリトリー”と呼ばれる店舗単位の枠をいくつも失うと、億単位の減収につながる可能性があるため、損保の社員は競争とプレッシャーにさらされ、力関係は圧倒的にビッグモーターが上だった」と明かしました。

男性は、今回保険金の不正請求が見過ごされた背景には、ビッグモーターが優位な立場にありながら損保と顧客を融通し合う「特殊な関係」があったと考えていて、「事故に遭った保険の契約者側の報告書と、修理工場からの請求書などを照らし合わせれば、査定を行う保険会社の担当者はおかしいと気付くはずだ。“払いたくない”と言った担当者もいたと思う」と話していました。

「状態良好」のはずの中古車が…修理以外の顧客にも不信感広がる

ビッグモーターに対する不安や不信感は、車の修理以外の顧客にも広がっています。

福島県の25歳の男性は、おととし、ビッグモーターの店舗で「旧車」と呼ばれる珍しい中古車をおよそ400万円で購入しました。

店の担当者からは「車の状態は良好だ」と説明されていましたが、納車の日、店から自宅に運転して帰る途中、オイルメーターが動いていないことに気付いたということです。

車のマフラーを確認すると、複数穴が開いている場所があり、さらにシートベルトのストッパーが作動しないなどの不具合もありました。

ビッグモーターから受け取っていた整備の記録には、不具合があった場所にはいずれも点検済みであることを示すチェックがありました。

男性は今回不正が発覚したことで、整備不良の車を売りつけられたのではないかと不信感を強めたといい「いったい何の点検をしたのか。何度も抗議しても謝罪のことばも、詳しい説明もありません。一生乗るつもりで買った車なのに、危なくて気軽に乗ることもできません。まだ10年ほどローンが残り、買い替えることもできず、人生を狂わされた気分です」と話していました。

※このニュースは、NHKの「ニュースポスト」に寄せられた情報をもとに取材しました。