パリ五輪まで1年 セーヌ川でイベント 聖火リレーのトーチ披露

オリンピック開幕まで1年となるのにあわせて、パリでは25日、中心部を流れるセーヌ川で記念のイベントが開かれ、聖火リレーで使われるトーチが披露されました。

開幕まで1年を祝う記念のイベントは来年の開会式が行われるセーヌ川で開かれ、会場となった船にはIOCのバッハ会長やパリのイダルゴ市長らが乗り込みました。

はじめに大会組織委員会のエスタンゲ会長が聖火リレーで使われるトーチを披露し、「開幕までのカウントダウンが始まった。準備はラストスパートだ」とあいさつしました。

淡い銀色の「シャンパンカラー」のトーチは高さ70センチ、重さ1.5キロで、パリ大会ではオリンピック史上初めて同じ人数の男女の選手が参加することを受けて、「平等」をテーマに上下左右が対称となっています。

また、柔らかな曲線は「平和」を象徴しているということです。

来賓に招かれた陸上の男子100メートルで世界記録を持つウサイン・ボルトさんはトーチを手に、「来年のオリンピックを誰もが楽しみにしている。セーヌ川での開会式を見るのが楽しみだ」とエールを送りました。

船は来年の開会式で選手たちが入場行進を行うのと同じコースを進み、川岸にかけつけた多くの市民はフランス国旗を振りながら声援を送っていました。

また、パリのランドマーク、エッフェル塔のふもとに設置された時計は、この日、開幕までの残り時間を示すカウントダウンを始め、観光客たちが記念写真を撮っていました。

初めてパリに来たというジャマイカ出身の女性は「セーヌ川での開会式はきっと素晴らしいものになる。必ず見に来たい」と話していました。

また、アメリカから来た男性は「この美しいパリで行われるオリンピックは壮観なイベントになるだろう」と話していました。

パリ大会が目指すのは“環境にやさしいオリンピック”

3回目のオリンピック開催となるパリ。

来年は、前回開かれた1924年からちょうど100年の節目となります。

そのパリ大会が目指すのが、これまでのどの大会より環境にやさしいオリンピックです。

取り組みの柱として、大会に関連して排出される二酸化炭素の削減を進めています。

このうち競技会場で利用するすべての電力は、再生可能エネルギーで発電されたものにするとしています。

また、大会の期間中、すべての観客がパリ市内の会場を地下鉄やバスなど公共交通機関で移動できるようにするため増便が行われるほか、競技会場をつなぐ自転車の専用道路は60キロに及びます。

競技会場の95%は既存の施設を使うか、仮設の会場を利用し、新たな建設プロジェクトを少なくすることで、環境への負荷を大幅に減らすとしています。

さらに、競技の舞台をエッフェル塔の前の公園や1900年に開催されたパリ万博の会場だったグランパレなどにすることで、観光都市パリをアピールするねらいもありそうです。

一方、来年3月の完成を目指して建設を進める選手村では、電力消費を抑えるため建物にエアコンは設置されず、屋根を緑化するほか、床下に地下水を流して室内を冷やすことにしています。

「開かれたオリンピック」にすることも大きな目標です。

開会式の会場はパリ中心部を流れるセーヌ川で、およそ60万人が河岸や橋の上から見ることができるとしています。

前代未聞の演出となるだけに集まった人たちの安全をどう確保するか、警備も課題となります。