【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア軍による攻撃で市民4人死亡

ロシア軍は25日もウクライナ東部や南部への攻撃を続けています。

このうちウクライナ東部ドネツク州の知事は、ロシア側のミサイル攻撃などで市民2人が死亡し、2人がけがをしたと26日発表しました。

南部ヘルソン州の知事もロシア軍による砲撃で2人が死亡し、3人がけがをしたとしています。

これに対してウクライナ側は、軍の参謀本部が26日、東部ドネツク州の一部の地域でロシア軍の攻撃を撃退したほか、南部ザポリージャ州などでは、ロシア軍の進軍を阻止していると発表しました。

ゼレンスキー大統領「支援に感謝 ありがとうアメリカ」

アメリカ政府が最大4億ドル相当の追加の軍事支援を発表したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は25日公開した動画の中で、「この日は早くに始まった。アメリカのものを含む武器や新たな軍事支援を受け取るふだんの仕事だ。きょうの支援に感謝している。ありがとうアメリカ」と述べ、謝意を示しました。

米 ウクライナに最大4億ドル相当軍事支援

アメリカ国防総省は25日、ウクライナに対する追加の軍事支援を発表しました。

それによりますと、
▽地対空ミサイルシステム「パトリオット」や防空ミサイルシステム「ナサムス」のための追加のミサイル、それに
▽射程が長く、精密な攻撃が可能とされる高機動ロケット砲システム=「ハイマース」に使われるロケット弾など、最大4億ドル相当、日本円にして最大564億円相当の兵器を供与するとしています。

アメリカとしては、ロシア軍が無人機を使ってウクライナ南部オデーサ州への攻撃を繰り返す中、ウクライナの防空能力を強化し、反転攻勢を後押しする狙いです。

ブリンケン国務長官は声明で、「ロシアはオデーサをはじめ、ウクライナの港や穀物倉庫への攻撃を続けている。アメリカとその同盟国や友好国は、ウクライナが必要とする限り寄り添う」と強調しました。

ロシア プーチン大統領ことし10月訪中へ

ロシア大統領府のウシャコフ補佐官は25日、国営の通信社などに、プーチン大統領がことし10月に中国を訪問する意向があると明らかにしました。

習近平国家主席の招待を受け、アジアとヨーロッパをつなぐ巨大な経済圏構想「一帯一路」をテーマにしたフォーラムに参加するためだとしています。

習主席はことし3月、モスクワを訪れた際、プーチン大統領に対し、このフォーラムへの出席のため、中国に招待したことを明らかにしていました。

プーチン大統領の中国訪問が実現すれば、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始する直前の去年2月以来となります。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は先に、プーチン大統領の中国訪問では両国の経済協力から国際情勢まで幅広く意見が交わされる予定だとしています。

ロシアとしてはウクライナ情勢をめぐってアメリカなどとの関係が悪化する中、今回の訪問で中国とのいっそうの関係強化を図るねらいがあるとみられます。

英国連大使「ロシア軍 民間の船も攻撃する可能性」

イギリス国防省は25日、ロシアは、ウクライナ産農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止して以降、オデーサ周辺で、異例ともいえる数の対艦ミサイルを使用しながら港の穀物倉庫や歴史的な市街地への攻撃を繰り返していると指摘しました。

また、ロシアがオデーサを標的にしている理由について、「ウクライナがこの地域に武器などを保管しているとみなしている」と分析しています。

こうした中、イギリスのウッドワード国連大使は25日、ニューヨークの国連本部で急きょ記者会見し「ロシア軍はウクライナの穀物施設に対する標的をさらに拡大して、民間の船も攻撃する可能性がある」と述べロシア軍が今後、民間の船まで攻撃する可能性があると明らかにしました。

さらに、「ロシア軍がウクライナの港への航路に追加の機雷を設置した情報がある」とした上で、民間の船への攻撃をウクライナの責任だと主張するためのものだと非難しました。

そのうえでウッドワード国連大使は、国連安全保障理事会の議長国としてウクライナの要請に基づいてロシアによるオデーサへの攻撃や農産物輸出の合意履行停止について、対応を協議する緊急会合を26日に開くと明らかにしました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は25日、記者団に「現時点で農産物の輸出をめぐる合意に戻ることはありえない」と述べ27日からロシアで開かれるアフリカ諸国との首脳会議でプーチン大統領がロシアの立場を説明する考えを示しました。

ウクライナ 兵士の心のケア体制構築を急ぐ

ロシアの軍事侵攻が続くウクライナでは、国防省の専門家などが会議を開き、軍事侵攻の長期化を受けて、兵士の心のケアの問題が今後、さらに深刻になるとして十分な体制の構築を急ぐことを確認しました。

会議は、ウクライナ国防省の関連機関で精神的な治療に携わる専門家などが集まって、25日、首都キーウで開かれました。

この中で、兵士の心のケアについて、戦場で精神的なダメージを受けた兵士たちは、症状の深刻さに応じて、前線から離れた施設に段階的に移して治療していることなどが紹介されました。

キーウにある施設の代表は軍事侵攻が始まって以降これまでに、およそ4500人の兵士を受け入れて治療したことを明らかにしました。

また、退役軍人省の施設では、1日におよそ20人の兵士を受け入れていることや、欧米諸国の事例も踏まえて対応していることなどが紹介されました。

傍聴していた、けがで一時的に前線を離れているという女性兵士からは「兵士を戦場に送る前に何らかの対応をとるべきだ」という指摘も出され、会議では兵士の心のケアの問題が今後、さらに深刻になるとして十分な体制の構築を急ぐことを確認しました。

会議で発言した女性兵士のオレーナ・イワネンコさんは「現場の指揮官は精神的にも強かったが、人の心に手を差し伸べられる専門家ではなかったので、支援が必要だ」と話していました。