“少子化対策など金額示さず要求” 概算要求基本方針 閣議了解

来年度、令和6年度予算案の編成に向けて、政府は各省庁が行う概算要求の基本方針を25日の閣議で了解しました。集中的に取り組むとしている少子化対策に関しては、金額を示さずに要求することを認めます。

概算要求の基本方針では、今後3年間で集中的に取り組むとしている少子化対策のほか、物価高騰対策などについては「年末の予算編成過程で検討する」として、要求段階では金額を明示しない、いわゆる「事項要求」を認めます。

一方、医療や年金など社会保障費は、高齢化に伴う影響を踏まえ、今年度の当初予算から5200億円以内の増額に抑えるよう求めます。

また、政策によって費用が増減できる「裁量的経費」は、今年度の14兆3000億円から10%減らすよう求め、その代わりに4兆2000億円程度の「重要政策推進枠」を設けます。

この中では、構造的な賃上げの実現や官民連携による投資拡大など「新しい資本主義」に関する政策のほか、防衛力の強化に向けた研究開発や、サイバー対策などの要求を受け付けます。

この基本方針に基づいて、来月末までに各省庁の要求を取りまとめることにしています。

来年度も少子化対策の強化に向けた予算などで歳出の膨張が見込まれますが、厳しい財政状況が続く中、予算編成にあたっては財源確保や歳出改革のあり方が問われることになりそうです。

鈴木財務相「財政健全化にも引き続き取り組む」

鈴木財務大臣は、概算要求の基本方針で、「裁量的経費」を減らすよう求め、その代わりに「重要政策推進枠」を設けることについて、「各省庁には要求段階から施策の優先順位の洗い直しをしてもらい、予算の中身を大胆に重点化させる効果を期待している」と述べました。

そのうえで、少子化や物価高騰対策など、幅広く「事項要求」を認めることは、歳出の増加につながって財政健全化を後退させるのではないかという指摘に対して、鈴木大臣は「基本方針はあくまで各省庁からの要求を定めるもので、その先の最終的な予算の姿は、財務省で厳格な査定を経て決定する。財政健全化にも引き続き取り組む」と述べ、予算を大胆に見直し歳出改革を進めることで、財政健全化に取り組む考えを示しました。