基礎的財政収支 高めの成長でも2025年度赤字見込み

内閣府は、財政の健全性を示す指標の一つ、「基礎的財政収支」の最新の試算をまとめ、高めの成長を前提にしたケースでも政府が黒字化の目標としている2025年度には1兆3000億円程度の赤字となる見込みです。

「基礎的財政収支」は、政策に充てる経費を税収などでどれだけ賄えるかを示す指標で、政府は2年後の2025年度に黒字化する目標を掲げています。

25日の経済財政諮問会議では足元の実績を踏まえた最新の試算が内閣府から示されました。

それによりますと、成長率が物価の変動を除いた実質、名目ともに年間0%台半ば程度になるというケースでは、2025年度には2兆3000億円程度の赤字を見込んでいます。

昨年度の税収が上振れたことなどから、ことし1月時点より赤字幅は2兆8000億円程度縮小しましたが、それでも目標の達成は困難な状況です。

また、実質で2%程度、名目で3%程度の高めの成長を想定したケースでも2025年度は1兆3000億円程度の赤字で、黒字化は翌年の2026年度と見込んでいます。

ただ内閣府は、高い成長が実現し歳出改革の努力を続ければ2025年度の黒字化は可能だとするこれまでの見通しは維持しました。

政府は今後、来年度予算案の編成作業を本格化させますが、防衛力の強化や少子化対策などで歳出拡大が見込まれる中、財政健全化目標を達成するには、高い成長と効果的な政策への絞り込みの両立を迫られることになります。

岸田首相「改革の進捗を点検・検証 課題と成果の総括が必要」

岸田総理大臣は経済財政諮問会議で「今回の中長期試算では、適切な経済財政運営や歳出改革を継続すれば、2025年度の国と地方をあわせた基礎的財政収支の黒字化が視野に入る結果となっている」と述べました。

その上で「2025年度とその先を見据え、中期的な経済財政の枠組みを策定するための議論を始めるには、これまでの改革の進捗(しんちょく)状況を点検・検証し、課題と成果を総括することが必要だ」と述べ、後藤経済再生担当大臣に作業を進めるよう指示しました。