出産控えた女性に配布した文書 批判相次ぎ配布中止 広島 尾道

「妻がわけも分からずイライラしているのが嫌だった」

広島県尾道市が出産を控えた女性に配布した文書に父親の気持ちとしてこうした内容が紹介され、SNSでは家事や育児への理解が足りないなどと批判する意見が相次ぎました。市は「子育てに関わる方々の心情にそぐわない内容だ」と謝罪し、文書の配布を取りやめることを決めました。

尾道市が配布を取りやめたのは、「先輩パパからあなたへ」というタイトルで、5年前、市内に住む父親を対象に行ったアンケートの結果をまとめた文書です。

このうち、「妻のこういう態度、言葉が嫌だった」という項目では
▽1位に「わけもわからずイライラしている、少しのことでイライラして当たられる」
▽2位に「赤ちゃんの世話で忙しく家事ができていない」などと書かれています。

また、「妻にしてもらいたいこと」には
▽1位に「何をしたらいいのか言葉ではっきり言ってほしい」
▽2位に「今のままでよい」
▽3位に「家事をそれなりにやってほしい」などと書かれていました。

23日、この文書の内容がツイッターに投稿されると25日朝の時点で、2万リツイートを超えるなど大きく拡散し「妊娠中の人に送る内容ではない」とか「ただでさえワンオペでつらい人もいるのにさらに追い詰めるのでは?」などと、母親に家事や育児を押しつけ、理解が足りない内容だと批判する意見が相次ぎました。

市によりますと、投稿を受けて25日午後2時までに市には電話やメールで166件の意見が寄せられ、多くが批判的な内容だったということです。

これを受けて平谷祐宏市長は、24日夜、ツイッターで「妊婦さんや産婦さんなど、子育てに関わる方々の心情にそぐわない内容であり、多くの方々を不快な思いにさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」と謝罪し、市は文書の配布を取りやめることを決めました。

一方、市は男性に対しても妊娠届の交付に合わせて「パパになるあなたへ」という文書を配布していて、子育て中の母親からの意見を同様のアンケートにまとめ紹介していました。

尾道市健康推進課の高橋彰課長は、NHKの取材に対し「性別による役割を固定的に与える意識を助長する表現だった。いろいろな方がいらっしゃる中で思いが至らず申し訳なかった」と話していました。