自転車バッテリー盗難 東京都内で急増 去年の約2倍ペース

電動アシスト自転車に使われているバッテリーの盗難が、東京都内で相次いでいます。ことしの被害は先月までに207件と、去年の同じ時期に比べておよそ2倍に急増していて、警視庁が注意を呼びかけています。

警視庁によりますと、電動アシスト自転車のバッテリーが盗まれる被害が都内各地で相次いでいて、ことしは1月が18件、2月が39件、3月が30件などと毎月およそ20件から40件確認され、特に先月は78件と急増しています。

先月までの半年間の被害はあわせて207件にのぼり、去年の同時期に比べておよそ2倍と、この5年間で最も深刻なペースとなっています。

地域別では江戸川区で44件、豊島区で32件、江東区で18件など、特定の地域に被害が集中しています。

今月に入ってからも、北区や江戸川区を中心に被害は増え続けていて、中旬までの2週間ほどの間に、少なくとも60件以上の被害が確認されているということです。

警視庁の分析では、戸建て住宅では鍵をかけていなかったバッテリーが盗まれる被害が多い一方、4階建て以上の集合住宅の駐輪場では、鍵をかけていても工具のようなもので壊されて盗まれる被害が相次いでいるということです。

防犯カメラに映った姿

バッテリーの盗難が相次いでいることを受けて、警視庁は警戒を強めています。

こちらは、江戸川区の集合住宅の防犯カメラの映像です。

先月18日の午前2時40分ごろ、ヘルメットをかぶった人物が周囲を見渡して自転車に近づき、バッテリーのあたりに手を伸ばしています。

そして数秒後、黒い箱のようなものを手に、乗ってきたバイクの方向に歩いて行きました。

住民によりますと、この集合住宅では同じ日、4か所の駐輪場からバッテリーおよそ10個が盗まれていたということです。

盗んだ後に売りさばいたか

警視庁は今月、江戸川区の別の集合住宅の駐輪場に止めてあった自転車のバッテリー1個を盗んだとして49歳の容疑者を逮捕しました。警視庁は、防犯カメラに写った人物もこの容疑者の可能性が高いとみています。

捜査関係者によりますと、取り調べに対し、当初は容疑を否認していたということですが、その後、容疑を認めたうえで「盗んだバッテリーは面識のない人物に渡して一定の報酬を受け取っていた」と供述しているということです。

また取り調べの中で、これまでにも大量のバッテリーを盗んだことをほのめかしているということです。

警視庁は盗んだバッテリーを組織的に売りさばいていた可能性もあるとみて詳しく調べています。

捜査関係者によりますと、過去に摘発したバッテリーの盗難事件では、盗まれたバッテリーがインターネットのフリマサイトやオークションサイトで売り出されたり、海外に持ち出され密売されるケースもあったということで、都内で相次いでいるほかの盗難被害についても捜査を進めています。

盗まれないための対策は

バッテリーを盗難の被害から守るためには何が必要なのか。警視庁葛西警察署の島田恵梨 防犯係長は2つのポイントを上げています。

1つ目は、バッテリーを取り外しておくことです。鍵をかけていても工具のようなもので壊されて盗まれる被害が相次いでいることから、帰宅後など長時間、自転車を止める際には、充電もかねてバッテリーをこまめに取り外して持ち帰ることが重要だということです。

島田係長は「特に集合住宅では、顔見知りの人が多いからと安心せずに、取り外して持ち帰るようにほしい」と話しています。

2つ目は、ワイヤーやチェーン錠などで二重に鍵をかけることです。買い物などで自転車から離れるなどバッテリーを持ち運ぶことが難しいときでも、チェーン錠などでバッテリーと自転車を固定し、簡単に取り外せないようにすることが大切だといいます。

その上で、「最近は自転車そのものの盗難も増えているので、買い物などで離れる際は施錠をしてほしい」と話しました。