【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを詳しくお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

IAEA ザポリージャ原発周辺に地雷を確認と発表

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は24日、声明を発表し、ウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所の周辺に地雷が設置されていることを確認したと発表しました。

現地にいるIAEAの専門家が23日、原発施設の内部と外部のフェンスの間にある緩衝地帯に設置されていたのを確認したということです。

グロッシ事務局長は「爆発物が敷地内にあることはIAEAの安全基準と相いれない。今後も原発側との対話を続けていく」と強調しました。

ザポリージャ原発を巡ってはロシア軍が占領を続けていて、ウクライナ側が、ロシアがテロを計画し、地雷を仕掛けているとも主張する中、IAEAは専門家を常駐させて調査を行っていました。

ドネツク州知事 ロシア攻撃で2人死亡

ウクライナの首都キーウの当局は25日、ロシア軍がイラン製無人機で攻撃を仕掛けてきたとして、3時間にわたり防空警報が出されたと発表しました。空軍によってすべて破壊され、けが人などはないとしています。

一方、東部ドネツク州の知事は25日、SNSでロシア側による攻撃で2人が死亡し、子どもを含む10人がけがをしたと発表したほか、北西部ジトーミル州でも地元の知事がイラン製無人機での攻撃があり、民間施設に被害が出たと説明しています。

ロシア副首相 “武器・弾薬1か月の供給量 去年1年間を上回る”

ロシアの国営通信社によりますと、政府で産業貿易相を兼務するマントゥロフ副首相は24日、軍需産業に関する会議の中で武器や弾薬の供給状況について、「1か月の供給量は去年1年間の注文分を上回る水準に達している」と主張し、反転攻勢を続けるウクライナと欧米側をけん制しました。

ロシア代表団が北朝鮮訪問へ

北朝鮮は朝鮮戦争の休戦協定の締結から27日で70年となるのにあわせて、ロシアのショイグ国防相が率いる代表団が北朝鮮を訪問すると、25日、国営の朝鮮中央通信を通じて発表しました。

ロシア国防省によりますと、代表団は25日から27日にかけて北朝鮮を訪問し、式典に参加するということです。

これに先立ち、中国も中国共産党と政府の代表団が26日から北朝鮮を訪れると24日、発表しており、休戦協定の式典にあわせてロシアと中国の代表団がそろって訪問することになります。

中国 王毅政治局委員とプーチン大統領の最側近 結束を確認

中国で外交を統括する王毅政治局委員とロシアのプーチン大統領の最側近の1人のパトルシェフ安全保障会議書記は、BRICS=新興5か国の会議が開かれている南アフリカのヨハネスブルクで24日、会談しました。

中国外務省によりますと、この中で王氏は「中国はロシアと戦略的な意思疎通をさらに強化したい」と強調しました。

そのうえで、「中国はロシアなどのBRICS諸国と緊密に協力し、多くの発展途上国の共通の利益を守ることを望む」と述べ、欧米に対抗し、多極化した国際秩序の構築を目指す考えを示しました。

これに対し、パトルシェフ氏はウクライナ情勢や米中対立を念頭に、「ロシアと中国は地域と国際情勢に緊張をもたらす冷戦思考に反対する」と述べたということです。

中ロ両国としては結束を改めて確認するとともに、BRICSの枠組みを重視する姿勢を示すことで、アメリカをけん制するねらいがあるとみられます。

小麦の先物価格が急騰 無人機攻撃で穀物倉庫破壊受け

黒海に面したウクライナ南部オデーサ州の地元知事が24日、ルーマニアとの国境に近いドナウ川沿いの港がロシア軍の無人機に攻撃され、穀物倉庫が破壊されたとSNSに投稿したことなどを受けて、ウクライナ産の小麦の輸出に及ぼす影響への懸念が高まったためです。

シカゴ商品取引所の小麦の先物価格は先週、
▽ロシアがウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止したことや、
▽ロシア軍が穀物の積み出し港があるウクライナ南部の都市オデーサへの攻撃を続けていることで上昇傾向にありましたが、ドナウ川沿いの港が攻撃されたことでいちだんと上昇した形です。

市場関係者は「ドナウ川沿いの港から黒海を抜けて農産物を輸出するルートが期待されていただけに、攻撃を受けて懸念が高まった。ロシア軍の攻撃が激しくなれば、地政学上のリスクからさらに小麦価格が上昇するおそれがあるとして市場では緊張が高まっている」と話しています。

ウクライナ国防省 東部や南部で領土奪還とSNSで強調

ウクライナ国防省のマリャル次官は24日、東部ドネツク州の拠点バフムト方面で激しい戦闘が続くなか、徐々に部隊が前進しているほか、南部ザポリージャ州の主要都市メリトポリやアゾフ海に面した港湾都市ベルジャンシクに向かう方面で作戦を展開し、1週間で合わせて16平方キロメートル余りを奪還したとSNSで強調しました。

オデーサ州知事 ロシア軍の無人機攻撃で7人けが

南部オデーサ州の地元知事は24日、ロシア軍が無人機でルーマニアとの国境に近いドナウ川沿いの港を攻撃し、7人がけがをしたほか、穀物倉庫などが破壊されたとSNSに投稿しました。

この攻撃についてルーマニアのヨハニス大統領は「ウクライナのさらなる穀物輸送、ひいては世界の食料安全保障に影響を及ぼす」とSNSに投稿し、ロシア軍の攻撃を強く非難しました。

プーチン大統領が論文発表「ロシアがウクライナ産穀物代替」

ロシアのプーチン大統領は24日、今週、ロシアで開かれるアフリカ諸国との首脳会議を前に論文を発表し、「ロシアはことし記録的な収穫が見込まれ、ウクライナ産の穀物を代替できることを保証したい」と強調し、ロシア産の農産物を無償で提供する考えも示しながら、アフリカ諸国の取り込みを図っています。

ウクライナ高官「クリミアとロシアつなぐ橋 攻撃可能」

7月17日に損壊した、南部クリミアとロシアをつなぐ橋の軍事的な重要性について、ウクライナ国防省情報総局のスキビツキー氏が23日地元メディアのインタビューに応じました。

この中でスキビツキー氏は「クリミアにいるロシア軍を支援するために利用されてきたが、最近では南部ヘルソンなどを占領する部隊を支援することにも利用されている」と指摘し、軍事侵攻を続けるロシア軍がこの橋を重要な軍事インフラとして利用していると指摘しました。

そのうえで、「この橋は複雑な構造となっているものの攻撃することは可能で、ウクライナにいるロシア軍の後方支援を妨害できる」と述べ、橋の破壊は容易ではないものの、ロシア軍の弾薬補給などの面でダメージを与えられると分析しました。

橋をめぐっては、ロシアのプーチン大統領は「長い間、軍事利用されていない」と主張している一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はこれを否定し、攻撃の対象になるという見方を示していて、スキビツキー氏の発言はウクライナ側の立場を改めて示したものとなっています。