米軍兵士の北朝鮮越境問題 国連軍“北朝鮮とやりとり”

アメリカ軍の兵士が、韓国と北朝鮮の軍事境界線を越えて北朝鮮側に入った問題で、国連軍司令部の副司令官が記者会見し「最も重要なことは、兵士の安全だ」としたうえで北朝鮮とやりとりを行っていることを明らかにしました。

今月18日、韓国と北朝鮮の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)のJSA=共同警備区域を見学するツアーに参加していたアメリカ軍の兵士が、許可なく軍事境界線を越えて北朝鮮側に入りました。

韓国メディアは、この兵士が、在韓アメリカ軍所属の2等兵で、韓国国内でトラブルを起こして拘束され、アメリカに送還される際に、空港から抜け出してJSAに向かったと伝えています。

これについて、非武装地帯を管理する国連軍司令部のアンドリュー・ハリソン副司令官は、外国メディアを対象にした記者会見で「JSAに国連軍と北朝鮮軍との連絡手段があり、北朝鮮側と対話を始めた」と述べ、北朝鮮とやりとりを行っていることを明らかにしました。

また「最も重要なことは、2等兵の安全だ」として、やりとりの詳細については言及を避ける一方「事件がどう帰結するかは誰もわからないが、個人的には肯定的に見ている」と述べました。

この問題では、韓国の専門家の間から「北朝鮮が、兵士の身柄をめぐって『人質外交』を展開する可能性もある」という指摘も出ていますが、北朝鮮は今のところ公式な反応は示していません。