ウクライナ南部 大規模攻撃で死傷者 世界遺産の大聖堂も被害

激しい戦闘が続いているウクライナでは、23日もロシア軍が南部オデーサへの大規模な攻撃を行い、世界遺産に登録された「歴史地区」にある大聖堂などが被害を受け市民に死傷者が出ました。ウクライナ政府は欧米各国に対して追加の防空システムの供与を強く求めました。

ロシア軍が攻撃を続けるウクライナ南部のオデーサ州では、23日にかけても大規模な攻撃があり、警察当局によりますと市民1人が死亡、20人以上がけがをしました。

地元のメディアなどによりますと、オデーサ中心部では多数の建物が被害を受け、ユネスコの世界遺産に登録された「歴史地区」にある正教会の大聖堂も、一部が損壊するなどの大きな被害を受けました。

ウクライナ大統領府のイエルマク長官は「ロシアのテロリストが再びオデーサを攻撃した。世界はどう対応すべきか。まずは敵の攻撃能力をなくすための長距離ミサイルをウクライナに供与すること、さらにウクライナの空を守るための防空システムも迅速に供与することだ」などと投稿し、欧米各国に対して追加の支援を強く求めました。

一方、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は23日、隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、この中でウクライナ軍の反転攻勢について「失敗している」と述べ、ロシア側が撃退に成功していると改めて強調しました。

ロシアによる軍事侵攻が始まって24日で1年5か月となる中、ウクライナ各地で一進一退の攻防が続いているものと見られます。

ユネスコ事務局長「非道な破壊行為」

ウクライナ南部のオデーサの攻撃でユネスコの世界遺産に登録された「歴史地区」がロシア軍による攻撃で被害を受けたことについて、ユネスコ=国連教育科学文化機関のアズレ事務局長は、23日、声明を発表しました。

この中でアズレ事務局長は「この非道な破壊行為は、ウクライナの文化遺産に対する暴力が激化していることを意味する」と強く非難しました。

世界遺産条約は締約国が世界遺産に危害を加えることを禁じていて、アズレ事務局長は「ロシアに対して条約を含む国際法上の義務を順守するよう強く求める」と訴えました。