G20エネルギー相会合 共同声明まとまらず 各国で意見対立

22日にインドで開かれたG20=主要20か国のエネルギー相会合は、化石燃料からの脱却や再生可能エネルギーの導入拡大などをめぐって各国の意見が対立し、去年に続いて共同声明のとりまとめはできませんでした。

インド南部のゴア州で22日に開かれたG20のエネルギー相会合には、日本から西村経済産業大臣が出席しました。

エネルギー安全保障や脱炭素の取り組みを議題に意見が交わされましたが、化石燃料からの脱却や再生可能エネルギーの導入拡大を求めた欧米の先進国と、経済成長が続く中で火力発電に大きく依存する途上国などとの間で 意見に隔たりがあったということです。

また、ロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギーや食料への不安が高まっているとして各国が強く非難し、去年に続いて今回の会合でも共同声明のとりまとめはできませんでした。

一方で、議長国のインドは合意した項目を成果文書として公表し、「各国の事情に配慮し、多様な道筋を通じて脱炭素を進めるべき」だとして各国が一致したと明らかにしました。

また、脱炭素に向けた次世代燃料として水素などの活用でも合意しました。

今回の会合では、ウクライナ侵攻以降の欧米とロシアの対立に加えて、脱炭素を急ぐ欧米の先進国と、化石燃料を必要とする途上国などとの立場の違いが浮き彫りとなりました。

西村経産相“残念だが とりまとめに尽力したインドに敬意”

会合のあと、西村経済産業大臣は記者団に対し、「今回の会合で意見がまとまった部分は成果文書として、残りは議長総括とすることで合意が得られた。すべてがまとまらなかったことは残念だが、インドが各国の主張を丁寧に聞きながらとりまとめに尽力したことに敬意を表したい」と述べました。

そのうえで、西村大臣は「会合では、日本が取り組む水素やアンモニアなどイノベーションの重要性、世界全体で脱炭素を進めることの重要性を強調した。エネルギーの安定供給を確保しながら経済成長に取り組む姿勢はかなり各国で共有されたので、世界をリードしていきたい」と述べ、新興国や途上国との連携を進める考えを強調しました。

インド電力相が会見 各国の立場に隔たり

会合の閉幕後、議長国インドのシン電力相が記者会見を開きました。

シン電力相は共同声明をまとめられなかった理由について「化石燃料を廃止するよりも二酸化炭素の回収や貯蔵を選ぶ国があった」と述べ、各国の立場に隔たりがあったことを挙げました。

また、閉幕後に発表された議長総括によりますと、ロシアがウクライナ情勢についてほかの参加国とは異なる立場を表明したほか、中国は「地政学的な問題を議論をする場ではない」と主張したとしていて、ウクライナ侵攻をめぐっても一致した対応がとれなかったとみられます。