ラグビー日本代表 サモア代表に敗れる 今季初のテストマッチ

9月に開幕するラグビーワールドカップに向けて強化を図る日本代表は22日、今シーズン初のテストマッチを札幌市で行い、ワールドカップでも対戦するサモア代表に22対24で敗れました。

世界ランキング10位のラグビー日本代表は、9月にフランスで開幕するラグビーワールドカップに向けて強化を進めています。

22日は札幌ドームでワールドカップの1次リーグで同じプールに入っている世界12位のサモア代表と、今シーズン初のテストマッチを行いました。

日本は前半6分にテストマッチ初出場となるロックのアマト・ファカタヴァ選手が先制のトライを決め、その後、スタンドオフの李承信選手のペナルティーゴールなどで10対0とリードしました。

しかし、このあと接点で劣勢となり、30分にはリーチマイケル選手が高く危険なタックルで退場して1人少ない状態となり、相手にトライを決められるなどして前半を10対10で折り返しました。

後半、日本は李選手の2本のペナルティーゴールでリードしましたが、8分に自陣で山中亮平選手のキックを相手にチャージされてそのままトライを奪われ、その後のキックも決められ16対17と逆転されました。

このあと日本は、再びペナルティーゴールで得点を重ねて22対17とリードを奪ったものの、23分にトライを決められるなど再び逆転され、22対24で敗れました。

日本は、敵陣でチャンスを作る場面もありましたが、ノックオンなどのミスやペナルティーを重ね、ワールドカップでも対戦するサモアを相手に痛い敗戦となりました。

日本は29日にテストマッチの2戦目として大阪・東大阪市で世界15位のトンガ代表と対戦します。

NHKでは、この試合を総合テレビで中継する予定です。

接点で劣勢に 強化試合とテストマッチで3連敗

日本はワールドカップ本番でも対戦するサモアとの“前哨戦”とも言える試合を落としました。

しかも主力選手に休養を与え経験の少ない選手たちで臨んだサモアに対し、敗れた日本。

ワールドカップ本番に向けて早急な立て直しが求められます。

データ会社の速報値をもとに分析すると日本の敗因が見えてきます。

ボールを前に持ち運んだ距離を比較すると、サモアが359メートル、日本が306メートルとなっていて、サモアがよりボールを持って前進していることがわかります。

日本は、前半30分にリーチ選手が退場し、1人少ない状態でのディフェンスで守りきるのが難しい面もありましたが、体の強さが持ち味のサモアに対し、接点で劣勢となったことが相手の縦の突破につながってしまいました。

さらに攻撃時に相手のタックルで仰向けに倒された数を見てみると、サモアが1、日本が4となっています。

日本はタックルを受けてもしっかりボールをキープし、ラックから素早く展開して攻撃を継続したいところでしたが、接点で差し込まれて倒され、思うような攻撃ができませんでした。

さらにスクラムでの劣勢や明らかなノックオン、それに自陣でキックをチャージされるなどのミスも敗因につながりました。

日本はこれで今月からはじまった強化試合とテストマッチで3連敗となりました。

共同キャプテンを務めた姫野和樹選手は、「3連敗となったが過去からしっかり学んで次に生かしていきたい」と前を向きました。

このことばどおり、次のトンガとのテストマッチではミスを少なくしての勝利が求められています。

リーチ選手「判断の厳しさ知ることができた」

リーチマイケル選手はこの試合、ナンバーエイトとして先発出場しましたが、前半30分、相手の頭付近へのタックルが映像による判定の結果危険なプレーと判定されました。

そしてレッドカードを出されて退場となり厳しい表情でピッチから引き上げました。

リーチ選手は15歳の時に来日し、高校時代を札幌で過ごし、凱旋(がいせん)試合の会場となった札幌ドームには2万2063人が訪れましたが、退場の瞬間、大きなため息がもれました。

リーチ選手は「札幌ドームで人生初のレッドカードをもらってしまった。チームに迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と厳しい表情で話していました。

一方「ポジティブに考えるとワールドカップでこういうこともあるので、チームとしていい経験ができた。タックルの厳しさ、判断の厳しさを知ることができたチームにとっていい刺激になったと思う。このあと何試合か出場停止になると思うが、チームにいい影響を与えられるように頑張っていきたい」と話しました。

そして「プレーできる時間はなくなるがより自分に焦点を当てて、足りない部分を仕上げていきたい」となんとかプラスに考えようとしていました。

ジョセフヘッドコーチ「最後もう少し足りなかった」

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「結果はすごく残念だ。ラグビーで選手が1人少なくなると難しい。前半30分でリーチ選手が退場したところでチームのある程度の方向性が決まってしまったのではないかと思う」とレッドカードが出た場面を振り返りました。

そのうえで「人数が少ない中、後半に相手を追い詰めることはできたが最後もう少し足りなかった。リーチ選手がいればどうなっていただろうかと思うところもあった」と話していました。

ノックオンといったハンドリングエラーが多かったことについて「経験のある選手のミスが多くすぐに修正しないといけない。誰も落としたくて落としているわけではないと思うが責任を持ってもらいたい」と話していました。

そして今後に向けて「スキルや規律の部分を修正して来週の試合に向かっていきたい」と最後は必死に前を向いていました。

坂手選手「しっかり修正してトンガ戦へ」

共同キャプテンを務めた坂手淳史選手は「たくさんの応援に対して結果で恩返ししたかったが実力が足りなかった」と試合を振り返りました。

敗因についてはボールが滑ってノックオンなどのミスが起こったことやスクラムでの修正に時間がかかったことを挙げました。

そのうえで来週のトンガ戦に向けて「しっかり修正して来週のトンガとのテストマッチに向かっていきたい。もっと強くならなければいけないことは確実だ。課題がたくさんあるのでクリアにして強くなっていきたい。さらに結束してスローガンでもある『OurTeam』で頑張っていきたい」と話していました。