バイデン大統領“AI生成動画か識別する対策開発へIT各社合意”

アメリカのバイデン大統領はAI=人工知能の安全性を高めるため、AIを利用して作った動画かどうかを識別できるようにする対策などをIT各社が進めることで合意したと発表しました。

文章や画像を自動的に作り出す生成AIの利用が急速に広がる中、アメリカのバイデン大統領は21日、IT大手を含むAIの開発を進める企業7社の幹部とホワイトハウスで会談しました。

会談の前に行った演説でバイデン大統領は各社が安全性を確保しながら技術開発を進めることで合意したと発表しました。

具体的には「ディープフェイク」と呼ばれるAIを利用して作った本物と見分けがつきにくい偽の動画や音声によって誤った情報が拡散することへの懸念が出ていることを踏まえ、AIで生成されたものかどうかを利用者が識別できる仕組みの開発を各社が進めるということです。

またAIによる新たなサービスの開発段階で外部の専門家も参加して社会的な影響や安全性を検証するとしています。

バイデン大統領は演説で各社の自発的な取り組みを歓迎するとした上で「適切な法案や規制を策定するために民主・共和両党と協力していく」と述べて今後、法整備を含め対策をさらに進めたい考えを示しました。

専門家「非常によい一歩だ」

AIを使った偽情報の影響やその対策などに詳しいニューヨーク大学のポール・バレット氏はNHKのインタビューに対し「非常によい一歩だ。企業側は立法化を待つことなく、すぐにでも行動を起こすことができる」と述べました。

その上で「このアプローチの弱点は、強制力がないことであり、企業側が達成しなければならない明確な基準がつくられていないことだ。議会や行政府は、こうした基準を設けたり、製品がどのようにつくられたのかについての情報開示を義務づけたりする法案の可決に向けて動く必要がある」と述べ、企業側の自主的な取り組みに任せるのではなく、立法府や行政府もルール作りを進め、安全対策に積極的に関わるべきだという考えを示しました。